突然の入院 都民ファの盛り返しと自民の敗北
こうした中、6月22日、68歳の小池は、夜のBS番組への出演を急遽中止し、入院した。「過度の疲労」ということであった(詳細は開示されていない)。東京都議選は、25日、小池抜きで告示された。麻生太郎財務相は、国会議員のいない組織を作って全部自分でやらなきゃならないようにしたのだから、「自分でまいた種でしょうが」と小池の入院にコメントし、小池支持者から猛反発を受けた。小池は30日に退院、7月1日にリモートで仕事復帰、2日には都庁に復帰した。この入退院で、かれた声で話しているシーンなど、小池像の露出が急増した。同情的なツイッターも増えた。
投票日前日の3日土曜日、小池は当落がギリギリの都民ファースト候補者の16選挙区を回った。声は発さず、候補者と肘タッチした。その映像がSNSなどで拡散し、都民ファースト候補者は、支持を拡げることができた。
投票率は42.4%と史上最低から2番目の低さだった。都民ファーストは45議席から減らしたが31議席を獲得し、一時ヒトケタまで惨敗するのではないかと言われたのを盛り返した。自民党は、自公で全127議席の過半数(64議席)を取るとしていたが、公明党が23の現有議席を維持したにもかかわらず、33議席に留まり(改選前の25議席よりは増やした)、「勝者なき選挙」の「敗者」となった。菅政権のコロナ対策、五輪政策への不満が、都民ファーストに流れたと言われた。しかし、最後の最後に小池が都民ファーストの応援に入ったことは、大きかったのである。
女性当選者最多は共産党
この応援をめぐって、都民ファーストの応援はしないとの小池と自公の密約があったとかなかったとか、破ったとか破っていないとか、憶測が乱れ飛んだ。小池は、都政を担うに当たって自公が過半数の都議会はイヤであり、また自公との交渉力を残しておくために都民ファーストの一定の議席を必要としたのである。
なおこの選挙で女性は過去最大の41人当選し、32%を記録した。もちろん全都道府県で最高である。共産党が14人で、都民ファーストの12人を上回っている。都民ファーストの女性都議の経歴は多様だが、共産党の都議は、そろって党の役職を経歴の最上位に記している。候補者・議員として訓練が行き届いている証拠ならよいが、上意下達の党マシーンのイエスウーマンの徴ではないことを祈りたい。
7月8日、蔓延防止等重点措置を7月12日から東京では緊急事態宣言とすることが、決定された。神奈川・千葉・埼玉・大阪は、蔓延防止等重点措置が継続することになった。期限は8月22日までで、五輪期間に重なる。そして8日に五輪の五者協議が開催され、観客について、1都3県は無観客と決定された(他道県も3県を除き無観客となった)。
新型コロナ感染者は「第5波」の増加を迎えており、また東京都議会議員選挙で、無観客を唱えた都民ファーストが健闘し、中止や延期を唱えた立憲民主党や共産党が堅調であったことに、対応せざるを得なかったということだ。