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 2つ目は第52話(6巻に収録)。

 定食屋で元舎弟・雅とランチを楽しむ龍は、彼が頬を押さえて「痛っ」と呟くのを見るや「…おい雅 お前まさか…虫歯か?」と疑いの目を向ける。幼い頃に「お菓子買うたるし付いてき」と母親に騙されるようにして歯医者に連れて行かれたのがトラウマになっている雅は、虫歯であるのを必死にごまかす。龍は“ちゃんと一日三回毎食後磨く”“フロスも使う”“面倒なら電動歯ブラシも使え”とアドバイスし、「下手すりゃ歯周病に目ぇつけられて歯のタマ取られる…」「お前も残りの人生 入れ歯で過ごしたくはないやろ?」と続ける。抗う雅を張り倒して診察台へと送り込み、一息つく龍。そんな彼も、虫歯で疼く奥歯を気にして頬を押さえていた……。

©おおのこうすけ(新潮社)

歯痛を放置すると家が回らない

 ひとりで生きるなら、歯のケアを怠っても困るのは自分だけ。しかし、家族がいたらそうはいかない。ズキズキとするなかで家事をやるのはキツいし、痛みでフラフラしながら自転車で息子の送り迎えをしたら事故を起こすかもしれない。なにより、辛そうな顔をしていたら家のなかの空気が悪くなる。ましてや、放置して歯周病になって歯が抜け、誘発しやすいとされる心臓病、肺炎、骨粗しょう症になったらたまらない。そうしたら、家事どころじゃないし、家なんか回らない。

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©おおのこうすけ(新潮社)

 玄関やキッチンのタイルの目地も掃除するようになったお前が、歯間の掃除も手を抜かないくらいに歯のケアを気にしなくてどうする。そう龍に教えられた気がして、ブラウンの電動歯ブラシを購入して現在に至る。