昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「早期教育の幻想ってありますよね」名門校の先生たちを取材して見えてきた“子どもの特性を伸ばすために親がすべきたった1つのこと”

 正解がないといわれるこれからの時代は、ニッチなことでいいから、スペシャリティをもつことが大事だといわれています。これからの時代には、なんらかのスペシャリティをもつ複数のひとたちが1つのチームになることでイノベーションが起こる確率が高まるからです。

 もちろん、「絵が上手くたって食っていけないよ!」というようなアドバイスは昔からあります。でもそれは、荒野をたった1人で生きていこうとする発想です。

 絵が上手いという能力をもつスペシャリストが、ITのスペシャリストや、スポーツのスペシャリストや、林業のスペシャリストたちと手を組めば、イノベーションが起こるかもしれません。そういうチームに属して必要とされていれば、なんとか生きていけます。

 1つのプロジェクトが終わったらチームは解散するかもしれません。そうしたら、そこで得た経験も新しい魅力にして、また違う新しいチームに加わればいいのです。

「ITとかAIは絶対に発展するので、いままでできなかったことが可能になっていきますよね。それはこれからの時代の若者たちにとって悪いことであるはずがない。大量生産・大量消費の時代が終わって、一人一人がそれぞれの価値観を大切にして発信できるようになったんです」と洗足学園中学高等学校の宮阪元子先生は言います。

©iStock.com

自分自身の「人生のモノサシ」をもつ

 どんなにささいなことでもいい。余人をもってかえられない職業的な何かをもっていることが「プロ」の条件なのだろうと私は思います。

 そのスペシャリティが時代の方向性にぴたりと一致すれば、世間的な意味での大成功を手に収めることができます。逆に、時代の方向性とズレていると、食えてはいけても、派手なスポットライトを浴びることはないかもしれません。そこは運だと私は思います。

 スポットライトが当たる人生を目指すのなら、時代の風を敏感に読み取ってそこに自分を最適化していかなければなりません。うまくいけば本当に大成功を収められるかもしれませんが、ちょっと待ってください。世の中の流れに迎合する人生が本当に自分の人生でしょうか。損得勘定に支配される人生が本当に自由な人生でしょうか。

「若いころからあれもできるようになって、これも身につけて、世の中の風に乗って意識高く飛び上がっても、根本に真の価値観をしっかりと結びつけておかなければ、糸の切れた凧のようになってしまいます。自分なりの信念をもって凧を揚げなさいということです」と雙葉中学校・高等学校の和田紀代子先生(当時)も語っています。