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腕を脱臼した日に、荷物をはこぶよう指示

 最近はA子に教えを請うための儀式になっている、と津田さんは語る。その度に業務が滞り、生産性は下がる一方だという。お局の陰湿なイビリはそれだけではない。

「私は学生時代にバレーボールをしていた影響で肩に脱臼グセがあるのですが、その日も肩が外れてしまい、三角巾で片腕を固定して出社しました。すると、A子さんから別のフロアにある荷物を持ってくるように指示されたんです。普段は彼女が担当している仕事なのに、その日に限ってわざわざ内線で頼まれたんですよ。しかもその荷物は4キロくらいの重さがあって、両手でなければ持てないものでした」

 彼女は仕方なく、ほかの部署にあった台車を借りて荷物を取りに行ったという。津田さんは「A子さんは、私が一番ダメージを受けそうなイジメを考えて実行している」と、呆れていた。

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写真はイメージです ©iStock.com

イジメの理由は、部長の「えこ贔屓」

 A子が津田さんをイジメのターゲットにした明確な理由は不明だ。しかし、周囲から漏れ聞く情報や、彼女の態度から心当たりはふたつほどあるという。

「ひとつは私の見た目が原因だと思います。キラキラしたメイクをして髪を巻いたり、ネイルをしたりしている私に対して、彼女は『髪はひとつに結べ』とか『ネイル禁止』とかいちいち説教してくるんです。中学生じゃあるまいしと思って、部長に確認したら、そんな規則はないから自由にしていいよと言われました。今も自分のポリシーを貫いています」

 そしてもうひとつは、部長による“津田さん贔屓”だ。たとえば、取引先からもらった高級なお菓子を津田さんにだけ渡したり、仕事ぶりを過剰に褒めたりと、誰の目から見ても津田さんは“部長のお気に入り”だという。

「部長はこっそりやってるつもりだろうけど、社内でも私への贔屓はかなり有名です。しかも、うちの会社は“部長の評価でボーナスが決まる”という悪いしきたりがあるので、私に対する部長の評価が不当に高いというウワサも広まってるんです。

 ボーナスの金額も、尾ひれがついて200万円なんてありえない額をもらっていることになってます(笑)。今考えると、A子さんが私を無視しはじめたのはボーナスの査定がある7月だったので、そのウワサを真に受けたんじゃないかな」