部長からかわいがられる津田さんを見て嫉妬に駆られたのか、A子は根も葉もないウワサを立てはじめた。
「コロナ禍になる前、会社で大規模な忘年会を開いたときに私がビンゴゲームで2等の高級和牛を当てたんです。するとA子さんは『なんでアイツに当たるんだよ……』と、私に聞こえるようにぶつぶつ言ってて……。
その数日後、同じ部署の先輩が、A子さん発信で、私と部長はデキてるからビンゴの景品が当たったというウワサが流されている、と教えてくれたんです。もちろん付き合ってないですけど、そうだとしてもビンゴは当たらないですよね(笑)」
周囲は、気づいていても手を貸してくれない
あまりにも幼稚なA子のイジメに当然周囲も気づいているが、面倒ごとは避けたいとばかりに完全にノータッチ。津田さんを気に入っている部長もまったく頼りにならないという。
「部長には何度も相談していて、そのときは『自分からも注意しておく』とは言ってくれますが、絶対に何もしていないと思います。周りの人は『若い女の子が来て、自分がチヤホヤされないのが気に食わないのかもね』なんて言っていますが、私には関係ないですよね。本当に誰も手を貸してくれません」
不運にも、新卒で入社した会社でイジメのターゲットになった彼女は「心が鍛えられた」と、自嘲を気味に話す。
「初めの頃は、毎日家に帰って泣いていました。親も『そんな会社辞めていいよ』と心配してくれたのですが、辞めるのも悔しかった。我慢をしつづけて今では嫌がらせに慣れてしまいました。でも、私が無視を仕返したらこちらも相手と同じところまで堕ちる気がするので、私は毎朝必ずA子さんにあいさつしています」