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「誘ってください」「パンツいりませんか?」と下着を売りつけようとする中学生も…危険すぎる子どものSNS利用の実態

『スマホ危機 親子の克服術』より#1

2021/09/17

source : 文春新書

genre : ニュース, 読書, 社会, テクノロジー

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「私もたまにライブ配信をやるけど、顔出しはNGにしてます。ひとりでやると途中で話がつづかなくなっちゃうから、たいていは友達と一緒ですね。要は友達としゃべってることを、まんま他人に聞かせちゃうんですけど、わざとおバカっぽいトークをしてます。お笑いライブじゃないけど、聞いてる人にウケること言うとコメントが多くなるし、チップがもらえたりするんです」

 おもしろいラジオ番組にリスナーからの反響があるように、斉藤さんのライブ配信でもコメントが寄せられる。加えて「投げ銭」という機能があり、チップが与えられる仕組みだ。チップとはゲームコインのようなもので、利用者がアプリ内で課金し、自分が気に入ったり、仲良くなった相手にプレゼントできる。

「配信やって、投げ銭もらえたら、それをアマゾンのギフトカードとかに引き換えられるんです。投げ銭狙いの子は、顔出ししてアイドル気取りで歌ったりとか、コスプレでしゃべったりしてます。私はそこまでガチでやる気はないんで、もらえるチップは月に数百円くらいですね。でも、顔出ししなければ少しくらいバカやっても平気だし、TikTokより自由度が高くて好きなんです」

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「絶対に怪しい人間じゃないんで、1分だけ切らないでもらえますか」

「変な人に当たったら即切り(すぐに通話を切る)か、ブロックすればいい」、そう話す子どもたちはいたずら電話のような感覚でトークアプリやボイスSNSを利用する。どこの誰ともわからないという匿名性に加え、相手はアプリによって無作為に当たっただけ。つまり自分で選んでいないわけだから、そのぶん「切る」ことへの心理的ハードルが低くなる。

 一見、危険な相手を防ぎやすいのだが、逆に「いい人」ならどうだろう。前出の愛莉さんが「優しそうな人に当たると、会ってもいいかなって気持ちになる」と話したように、たまたまつながった相手と意気投合する場合もあるはずだ。

 現在は社会人として働く尚斗さん(23歳)は、数年前まで斉藤さんやKoeTomoを利用して数十人の少女と連絡先を交換した。最年少は小学4年生の女の子、一番多かったのは中学生で、いずれも簡単に個人情報を聞き出せたり、少しおだてると「すぐに食いついてきた」と笑う。

「女の子につながったら、まずさわやかに挨拶します。そのあと『絶対に怪しい人間じゃないんで、お願いだから1分だけ切らないでもらえますか』と低姿勢で頼むんです。1分って言われると、相手もまぁそれくらいならと思うじゃないですか。1分なんて軽く過ぎちゃうけど、時間だからって切る子はまずいなかったです」