愛知県で行われた音楽フェス「NAMIMONOGATARI(波物語)2021」から2週間あまり、いぜん炎上の余波が続いている。
「波物語」といえば、数千人の参加者がノーマスクで大声を出したり、酒を飲みながら密状態で踊ったりする様子がツイッターで拡散され、「密フェス」として大炎上したフェスだ。
そして案の定というべきか、フェスの参加者から感染者が次々と確認され、事態を重く見た千葉市は9月18日〜19日にZOZOマリンスタジアムで開催される音楽フェス「スーパーソニック」の後援取り消しを決めた。今回の件によって「フェス=悪」のイメージが定着してしまったかのように見える。
こうした状況について、叩かれている側のフェス好きの人たちはどう思っているのか。年に数回は音楽フェスに行くというフェス好きの女性に話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)
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「フジロックは感染対策が万全だった」
フリーランスでグラフィックデザイナーをしている百瀬美月さん(仮名、24歳)は、音楽フェスやクラブが大好きな根っからのパリピ(パーティーピープル)だ。
フジロック(毎年夏に新潟県で開催される日本の野外ロックフェスの先駆け)をはじめ、ウルトラ・ジャパン(毎年9月にお台場で開催される日本最大級のEDMイベント)、カウントダウン・ジャパン(毎年12月に開催される日本最大級の屋内型ロックフェス)と、おもなフェスには毎年必ず参加しているという。
今年の夏も、「波物語」には行かなかったものの、同じ時期に新潟県の苗場スキー場で2年ぶりに開催されたフジロックには姉や友人など数人のグループで参加して楽しんできた。
――まず今回参加されたフジロックの様子をお聞きします。フジロックは昨年延期になって以降、行政などの関係各所と協議を重ね、かなり対策を行ったうえで開催されたと聞いています。実際のところ、現地の感染対策はどうだったんですか。
百瀬 フジロックはめちゃくちゃ感染対策をしていました。検温と消毒だけじゃなくゲートで手荷物検査も行い、それにパスしないと入場者の証明書となるリストバンドをもらえないんです。
あと、会場内にはあちこちにマスクの着用をチェックするスタッフがいて、「ちゃんと鼻が隠れるようにつけてください」と注意していました。私たちはキャンプしていたんですけど、本会場だけじゃなく、キャンプサイトに出入りするときも検温と消毒と手荷物検査があったので「うぜー」って思ったくらい。
――手荷物検査で酒の持ち込みもチェックしていた?
百瀬 そう。いくらお酒はダメといっても、どうせ誰かが持ち込むんだろうなって思っていたんです。やっぱりフェスってお酒があるほうが盛り上がるから。でも、荷物検査はあるし、売っているのもノンアルのビールやレモンサワーだけ。いろんなフェスに行きましたけど、お酒抜きのフェスは初めてでした。