「9月25日で42歳になります。42年間、本当に疲れました。いろいろなことがあって、いろいろなことをしてしまった。やり残したことはないかな。仮に死刑だって受け入れますよ。
今の心境としては、自分と関わったすべての人にちゃんと謝りたいです。会いたい、とか言える立場ではないけど、会いたい人はいます。会って謝りたい、迷惑をかけてしまった人がたくさんいます」
田中涼二被告(42)は福岡拘置所で文春オンラインの取材に10回以上に渡り応じてきた。
前妻A子さんと昨年末に離婚し、今年2月、養子の大翔くん(ひろと・当時9)を壮絶な暴行の末に死亡させ、その10日後には実子である蓮翔ちゃん(れんと・当時3)と姫奈ちゃん(ひな・当時2)との心中を決意。自宅から南に約230キロ離れた鹿児島県・桜島の麓にある観光ホテルで、幼い2人の首を絞めて窒息死させたが、自身は重傷を負いながらも生き残った。
大翔くんへの暴行については「育児のストレスで、自分が自分でなくなっていった」と語っている。
両親の自殺、4回もの結婚離婚、10年間のヤクザ時代…
田中被告のここへ至る人生は険しかった。暴力的な中学生活を送り、20歳前後の頃に両親が自殺。成人間際で結婚した“太宰府の女帝”山本美幸被告を皮切りに、計4回の結婚で養子を含め7人の子供を持った。約10年間のヤクザ時代には覚醒剤取締法違反や傷害で複数回、逮捕されている。
そんな荒んだ生活で、田中被告の一筋の光となったのが「子供」だった。
面会を始めた当初、警戒した様子だった田中被告も、回数を重ねるたびに態度を軟化させた。取材の合間に田中被告は残暑についての社交辞令的な雑談をしたり、差し入れた小説を喜んだりするようにもなった。そんななかで記者の印象に強く残っているのが、大翔くんや蓮翔ちゃん、姫奈ちゃんが、まるで生きているかのように、4人での思い出を語る姿だ。
「ある時、大翔が『サッカーがしたい』と言ってきたんですよ。でも大翔は運動神経が良くなくて、あんまり向いていないんです。蓮翔は足が速くて、ボール遊びも上手でした。保育園の先生が褒めてくれたんです。姫奈も物覚えが早いって」
緩んだ表情で話を続ける田中被告。記者には子供がいないことを話すと子育ての難しさについてもこう語った。
「休みの日は常に子供とどこかに行きましたよ。日曜日はずっと子供の日と決めていました。夏は行くところがたくさんあります。大きな公園に海、川、プール。A子も一緒に、泊まりでキャンプに行ったこともありました。でも冬は室内レジャーになってしまいますよね。商業施設の滑り台とか。
アンパンマンミュージアムにも行きました。蓮翔が大好きで。でも、大翔は年齢が違うし、楽しめないんですよ。誰かを中心にすると、誰かが楽しめないのが難しいんです。だから交代交代っていう感じで。でも、大翔に合わせると下の子2人には激しすぎて危ないんですよね。下に合わせることが多くなっちゃって、大翔には我慢させていたのかな……」