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 サイト上の記載によると、運営者は東京工業大学卒業後、東京大学の大学院に進学(いずれも証明書あり)。英語と日本語が話せ、身長は177㎝、目は二重、趣味は料理。精液検査や性病検査については直近の検査結果の用紙を公開するほか、提供した精子で生まれた子に対し、出自を知る権利を保障すると明言。問い合わせ欄から取材依頼をすると、翌日には、サイト上に公開する「精子提供に関する私の考え」を事前に通読することなどを条件に、OKの返事がきた。

 取材当日現れたのは、落ち着いた印象の30代前半の男性だった。西園寺優さん(仮名)。個人で会社を経営する傍ら、現在は月7件のペースで精子提供を行っているという。なぜ精子提供の活動をするようになったのか。

全文は『週刊文春WOMAN vol.11(2021年 秋号)』に掲載中

「大学時代に始めた頃は、知人からの依頼で細々と行っていました。でも、身近にこれだけ必要とする人がいるのだから、きっと他の地域にも困っている人がいるに違いない。そう考えてSNSなどで申込みを受け付けるようになったんです。

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 個人で精子提供をされている方には崇高なボランティア精神を掲げる人が多いですが、私はそれを前面に出すのは好きではありません。仕事をしている方はみなさん責任感を持っていると思いますが、だからといって殊更、人に言ったりはしませんよね。困っている人を助けたいというボランティア精神もあれば、責任感もある。でもそれはみなさんが仕事をされているのと同程度のモチベーションや責任感だと思います」

タイミング法は直接の性交渉

 西園寺さんの精子提供の流れはこうだ。希望者から相談メールが来ると、まず面談を行い、質問や疑問に答える。その上で相手が希望すれば、実際の提供方法について合意を取る。精子提供の方法はシリンジ法、タイミング法、宅配の3つ。

 シリンジ法は当日にレンタルルームで採取した精子を専用の容器に入れ、直接面会して渡す。宅配は自宅で採取した精子を容器に入れ、24時間以内に到着するよう宅配便で届ける。一方、タイミング法では直接の性交渉を行う。

「提供方法が決まれば基礎体温を測ってもらい、いずれの場合も排卵日2日前に届けるようにしています。内訳は男性不妊のカップル、レズビアン/性同一性障害(一方の方がFtM)のカップル、選択的シングルマザー希望の女性が3分の1ずつです。