妊娠率が高いのはやはりタイミング法です。宅配は時間の経過により精子の劣化が進むため、妊娠率は高くありません。タイミング法を希望する方には、“自然妊娠で授かりたい”と考える方が多いようです」
以前は無償提供していたが、希望者が多く本業の仕事に支障が出始めたため、機会費用として実費込みで1万~1万5千円を請求しているという。
妻は「事前に了承」「もめたことは一度もありません」
西園寺さんは2018年に結婚。自らの実子も2人いるが、驚くことに、配偶者は、タイミング法を含む夫の精子提供活動に理解を示していると説明する。
「妻には自分の活動をすべて話し、事前に了承を得たうえで結婚しています。お互い強固な信頼関係があるため、もめたことは一度もありません。まあ変わっている妻だとは思います。トラブルの元になるので、精子提供を受ける側がパートナーの許可を必ず得るべきなのと同様、すべての既婚提供者は、配偶者に許可を受けるべきです」
だが一般常識からいえば「セックス目的」と批判されて仕方ない行為ともいえる。そうした批判にはどう答えるのだろうか。
「第三者にセックス目的と思われたとしても構いません。私は依頼者のために活動していて、依頼者と将来生まれてくる子どもの感情には配慮しますが、それ以外の方の感情には配慮しないからです。タイミング法に限らずとも、精子提供自体に忌避感情を示す人は多い。そういう方々に配慮していたら、この活動自体できません。問題の本質は、男女のカップル以外は医療機関で精子提供が受けられないという日本の制度にある。精子提供を行う個人を非難したところで、問題は何も解決しないのです」
精子提供後は「基本的に干渉しない」という考えから、西園寺さんから連絡することはないが、出自を知る権利は保障するという。
「提供相手からの連絡は常時受けられるようにしています。将来子どもが18歳となり、自身の判断で精子提供者に会いたいと考えるのであれば会う意思がある、と事前に伝えています」
※続きは発売中の『週刊文春WOMAN vol.11(2021年 秋号)』にて掲載。後半では、今年4月に日本初の民間精子バンクとして誕生した「みらい生命研究所」代表の岡田弘医師、夫の無精子症によってAIDで子を授かった夫婦などに取材しています。
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