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頻発する旧一万円“聖徳太子”ニセ札事件 ベトナム人グループが偽造紙幣ビジネスにハマる「意外な理由」

2021/09/22

 渋沢栄一の肖像を採用した一万円札をはじめ、紙幣の刷新まで3年余りとなった令和の日本。そこに没後1400年を迎える聖徳太子が亡霊のように現れた。

 8月中旬以降、2週間足らずの間に、現行の福沢諭吉像に交代するまで発行されていた聖徳太子像の旧一万円札の偽造紙幣が、都内各所のコンビニエンスストアやドラッグストアなど130店舗以上で、約140枚使用されたのだ。

事件で使用された聖徳太子が印刷された旧一万円札のニセ札

 これらの偽造紙幣には、すべてPSではじまりNで終わる実在しない記番号が印字されていたことから、同一グループによる犯行である可能性が指摘され、近年稀に見る規模の同時多発的ニセ札事件として注目された。

 しかし容疑者らは、あまりにもあっさりと捕まった。

 警視庁捜査2課は、9月8日までに、それぞれベトナム国籍で都内在住の20代、チャン・ティー・チャン、チャン・ナム・フォン、ター・マイン・クオンの男女3人を偽造通貨行使容疑で逮捕した。彼らの所持品や自宅などからは、偽造紙幣130枚が押収された。

自宅近くのコンビニでニセ札を…稚拙すぎる犯行手口

 犯行は稚拙そのものだったようだ。大手紙記者が話す。

「彼らは、偽造一万円札で少額の買い物をして釣銭を受け取るという方法を繰り返し、手元のニセ札を現金化していったのですが、多くの場所で、防犯カメラに顔がしっかりと映っており、結果として逮捕の決め手となった。チャン・ティー・チャン容疑者とチャン・ナム・フォン容疑者は従姉妹同士なのですが、新宿区内の彼女たちの自宅から歩いて数分の距離にある複数のコンビニ店でもニセ札が使われていた。なかには、複数回訪れて犯行に及んでいる店舗や、日常的に買い物をしていた店舗もあったようです。彼らのあまりの警戒心の無さに、『彼らがニセ札であることを認識していたことを立証することに苦労しそうだ』と漏らす捜査関係者もいるほどです」