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 PSシリーズが事件となったのは、日本国内だけではない。 

 2016年2月、台湾の桃園国際空港で日本人の男が預けた荷物から、旧一万円札とみられる札束が1億1900万円分見つかり、ニセ札と鑑定されている。現地メディアが掲載したニセ札の写真には、PSから始まる記番号が確認できる。男はこれらのニセ札を台湾で入手し、フィリピンのマニラに持ち込む予定だったようだ。

 また、2019年4月には、台北近郊の新北市で、旧一万円札の偽造紙幣2億2879万円分を所持したとして60代の女が逮捕されている。当時この偽造紙幣を鑑定した人物こそ前出の松村氏で、「やはりPSシリーズだった」という。台湾メディアは、女は5億円分の旧一万円札を中国から持ち込み、半数はすでに東南アジアや日本のブローカーに販売していたと報道している。

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「逮捕者は犯罪組織に雇われた下っ端で、主犯はほかにいる」

 さらに「コロナ前にはまとまった量のPSシリーズが韓国に持ち込まれたと聞いている」と松村氏。PSシリーズは、日本よりもむしろ海外で大規模な事件が発覚している印象だ。

「PSシリーズの版下は中華系の犯罪組織の制作とみられる」と語る松村氏

「PSシリーズの版下は、20年ほど前に中華系の犯罪組織によって制作されたとみられていて、国内より海外で流通している。一定レベル以上のニセ札は、本物の通貨に準じた価値を持っていて、違法薬物や人身売買などの違法取引に両者がニセ札と認識したうえで使用されたり、ニセ日本円とニセ米ドルが交換されたりといった形で、地下社会で流通している。鑑定で見破られたことのないニセ札は額面の7割、既に見破られたことのあるニセ札でも、額面の2~3割程度の価値を持っているといわれています。

 今回の事件で使用されたPSシリーズも、過去に刷られて周辺国でひそかに流通していたものの一部が日本に持ち込まれたのではないでしょうか。そうなると逮捕されたのはおそらく犯罪組織に雇われた下っ端で、主犯はほかにいるはず」(松村氏)