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“慰安婦第1号”の証言をあらためて分析した結果は?

 本書では慰安婦証言の検証対象として内外でよく知られた代表的人物の3人がしばしば取り上げられている。一人は1991年、初めて日本軍慰安婦被害者を名乗り記者会見したことで有名な金学順。それに政府から人権活動家として勲章まで授与された金福童。もう一人は今も健在で資金疑惑を最初に問題提起し、慰安婦問題の代弁者格になっている李容洙。いずれも証言には大きなブレがあり、彼女らの経歴に日本軍による強制連行や慰安婦強制の証拠はないとしている。

慰安婦問題の“代弁者”李容洙氏(中央)©getty

 とくに“慰安婦第1号”といわれ、その記者会見の日(8月14日)が国家指定記念日の「慰安婦を称える日」になっている金学順は、今や慰安婦問題の象徴的人物として神格化されている。日本の朝日新聞が当時、記者会見に先立ち“特ダネ”として紹介した人物でもある。今年は“初証言30周年”ということで記念行事が盛んだった。本書では、彼女が養父によって身売りのため中国に連れて行かれる際、見送りの実母から平壌駅で黄色いセーターを贈られ、中国では約3カ月間、慰安婦をした後、客として来ていた朝鮮人の商売人と駆け落ちしたという証言をあらためて引用、分析。日本軍による強制的な慰安婦生活という事実はまったくないとしている。

 こうした金学順証言をはじめ元・日本軍慰安婦たちの証言の矛盾や問題点については、日本では以前から指摘されてきたが、韓国では正面切って暴露され批判されることはなかった。今回、そのタブーが崩れたのだ。

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 著者は慰安婦証言の矛盾やウソ、あいまいさ、いい加減さを踏まえ、韓国におけるいわゆる慰安婦裁判の「でたらめ判決」も厳しく批判している。証言が事実かどうかという裁判では不可欠の“事実の究明”や、韓国で定められた「慰安婦被害者法」との整合性などお構いなく、日本非難を前提にした結論先にありきの判決がまかり通っていると批判している。