――小説が「上」で、それ以外は「下」?
岩井 今回収録した、「10代の頃に思い描いていた想像の一人暮らし」や「1人居酒屋デビューした前乗りの夜」では、妄想シーンがたくさん出てきますが、これを「妄想じゃない」と言えば、「小説」になるんですよ。だから、エッセイも小説も、僕にとっては一緒なんですけど、最後の小説まで読んでエッセイを読み返したら、ちょっと崇高なものに思えませんか? それって大多数の人が「小説家の方が上」と思っているからじゃないかと思うんですよね。なので、第3弾はエッセイを書いて、そのまま「小説」って言って出せばいいと思います(笑)。
お堅い「小説新潮」にライトノベルみたいなタイトルを
――タイトルへのこだわりも教えてください。
岩井 第1弾の『僕の人生には事件が起きない』は、『僕は友達が少ない』(平坂読/著・KADOKAWA)をイメージしてつけました。なので、第2弾も何かの真似をしようと探して、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(渡航/著・小学館)からアイデアをもらいました。「ライトノベルっぽい」というところはこだわったところです。
――ライトノベルがお好きだからですか?
岩井 単純に面白いからです。お堅い「小説新潮」にライトノベルみたいなタイトルの本があったら面白いかなと思って。担当編集さんもライトノベルとか何もわかっていなさそうだし、KADOKAWAで出すようなタイトルの小説が新潮社から出たら面白いかなと思って(笑)。
――今回、ファン投票で帯のデザインが決まる「“帯”総選挙」も実施されましたが。
岩井 あれは担当編集さんのアイデアです。すごいやりたそうだったので、「正直そんなに効果ないと思うし、知りませんよ」と言ったんですけど、やると言うので、「じゃあ俺の責任じゃないですからね」と念押ししてスタートしました。なので、面白いかと聞かれたら答えにくいです(笑)。
――カバーの写真にもひと言あるとか。
岩井 今回は自転車に乗ってくれと言われて乗ったんですけど、炎天下の撮影でやたら眩しかったんですよ。あんなにたくさん撮ったくせに、第1弾でも第2弾でも眩しそうな表情の写真が使われているのは、何でだろうという疑問が残りました……。アイドルじゃないので、やたら本の宣伝で写真撮られるのもイヤでしたけど、それも「まちがっている日常生活」のひとつとしてどこかでネタに使います(笑)。
(取材・構成:相澤洋美 撮影:山元茂樹/文藝春秋)
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