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 ちなみに、これは近年、始まった採用制度であって、国家公務員試験が上級、中級、初級と区分されていた時期には中級合格者が警察庁に採用されることはなかった。代わりに、都道府県警から優秀な警察官の推薦を受け、警察庁に採用した。

 が、警察庁採用となると、元の所属先から転籍し、地元には戻らず全国を転々とすることになるため、敬遠する者が増え、次第に必要人数を確保できなくなった。そこで、採用方針を変更した結果、現在のような採用形態になったのである。

給与はスタート時点で2倍近くの差

 警察官の俸給すなわち給与は階級だけでなく実務経験の年数も加味して決まるため、幅があるものの、国と地方の俸給規定を見て平均値をとると、おおよそこうなっている。

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階級/月収/年収

●巡査/22万円/360万円

●巡査部長/34万円/557万円

●警部補/40万円/656万円

●警部/43万円/705万円

●警視/47万円/820万円

●警視正/60万円/984万円

●警視長/70万円/1148万円

●警視監/90万円/1476万円

●警視総監/120万円/1968万円

 これを見ると給与面の優遇が明らかだ。そもそもキャリアの場合、警部補からスタートするから、その時点で巡査の2倍近くの給与があり、1年数ヵ月すれば警部に、そして数年のうちには警視となって昇給する。また、最終的に警視総監に就くとすれば、警部補のおよそ3倍、警視正の2倍の給与をもらえる。ほぼ全員がなる警視監であっても、警部補の2倍以上、警視正の1.5倍である。もちろん、退職金額もこれに準じている。

写真はイメージです ©iStock.com

県警の部長、本部長は豪華な公舎住まい

 住居の面でも恵まれている。あるキャリアはこんなことを明かしている。「県警の部長や本部長になった際には、広々とした豪華な公舎住まいがありがたかった。警察庁に戻って東京都内に住むと、家族がいても60平米とか70平米程度。もっとも警視庁は別で幹部用となると90平米4DKなんて部屋もある。家賃も職務によっては無料。払っても数万円程度だから、その点だけを考えると、警察庁の課長や審議官よりも警視庁の部長のほうがいい」