ただし、ギャンブル関連については、準キャリアのポストになっているようだ。
「パチンコや競馬などは、キャリアにとってイメージがよくないので」
再就職事情に通じる警察幹部は、そう解説した。
かつてパチンコ業界に出資したとして、警察官のための損害保険代理店「たいよう共済」に非難の目が向けられたことがあった。また、馬主の身元照会や競馬の公正確保に必要な調査等を行う「競馬保安協会」には、常に暴力団、犯罪者集団の問題がつきまとっている。こうした事情から、キャリアは敬遠しているのかもしれない。
最近では、準キャリアの2名が天下っている。
笠間伸一 (滋賀県警本部長)→たいよう共済取締役(’16年7月)
村下 治 (中国管区警察学校長)→競馬保安協会関西本部長(’17年7月)
とはいえ、これは最初の天下りに関してのことで、それ以降になると、パチンコやパチスロ関連の団体、企業に歴代キャリアが天下っている。主なところを挙げておこう。
中田好昭 (関東管区警察局長)= 弁護士→日本電動式遊技機工業協同組合特別顧問
片山晴雄 (四国管区警察局長)= 住友信託銀行→全日本遊技事業協同組合連合会専務理事
小堀 豊 (九州管区警察局長)= 帝都高速度交通営団監事など→日本ゲームカード特別顧問、プリペイドシステム協会理事長
知念良博 (東北管区警察局長)= 西日本旅客鉄道特別顧問→ダイコク電機監査役
芦刈勝治 (警察大学校長)= 新日本製鐵顧問→日本パチスロ特許会長
警察庁長官と警視総監候補は、はなから別格
警察キャリアはほかの警察官と比べれば、はるかに昇進が早く、給与も高く、住環境などにも恵まれているが、その優遇度合いは一律ではない。前述したように同期15~20人のうち、警察庁長官、警視総監へと上り詰めるのは二人。しかも、この二人はそこに至るまでの過程でも別格扱いされているという。キャリア形成に詳しい前出の警察幹部はこんな解説をした。
「在外の大使館に出向するのであれば、一等国。それから、昔であれば、平穏な小規模県警の本部長から大規模県警の警務部長、本部長を務めるというのが最終階段を上る者の王道だった。いまもそれが王道であることに変わりないが、ただし、内閣人事局ができ、政治の介入度合いが高まって以降、次第に変わりつつある。
一方、脇道にそれた者は、内閣官房を含めて出向となって戻ってこない。ただし、官房長官秘書官や総理大臣秘書官はむしろ出世コースにある」
おおまかなキャリア・パスとそれに付随した特権などは、以上のようなものである。
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