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巡査の年収は360万、警部は705万、では警視長は? 住居補助に天下り…“警察キャリア”の恵まれた“特権”の実態

『特権キャリア警察官 日本を支配する600人の野望』より #1

2021/09/27
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 もちろん、一般の警察官にも官舎はある。が、ここまでの広さは望めない。また、通勤時間がかかる不便な立地になっている事実もある。

 ちなみに、警視庁の本部長たる警視総監の公舎は皇居脇、千代田区隼町にある。正式には「警視庁隼町分庁舎」と言われ、およそ640平米の敷地に立つ鉄筋コンクリート造りの建物だ。また、隣県の神奈川県警本部長公舎は、横浜市の山手町にある5LDKの二階建て。敷地面積は約300平米で、その家賃は無料だ。

専用車、秘書、個室が付いて、捜査にはほぼノータッチ

 職務環境も厚遇されている。

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 警察刷新会議以降、自宅や公舎からの送迎専用車は急速に減らされ、現在は警察庁では局長以上、県警では本部長、警視庁では原則、部長以上と限られてきてはいるものの、専用車は捜査官もしくは事務官が運転を担当。また、県警の課長以上になれば、個室があり、庶務係という名目での秘書も付く。

写真はイメージです ©iStock.com

 実務面の優遇もある。さるキャリアは自嘲気味にこう語った。

「県警に課長で出た時には、何十人かの直属の部下がいて、その人事面での管理はしたが、実際の捜査などにはほとんどタッチせず、県警プロパーの課長補佐や管理官がもっぱらその任にあたっていた。楽と言えば楽だが、お客様扱いのように感じた。早く警察庁に戻ってくれればいいというような。

 そのあと警視庁の部長になった時には、重大な捜査事案ですら素通りしていくので、腹が立った。あなたにはわからないでしょう、と思われているのがわかったからだ」

 仮にやる気があっても、実際の捜査案件には触らせてもくれないようなことさえ往々にしてあるというのだ。

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