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菅政権の肝煎り政策は「誰かが言っていたもの」ばかり…背後にいた“謎の外国人”と“大物金融ブローカー”とは

『墜落 「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか』より #2

2021/09/28

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 政治, 読書

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政財界をつなぐキーマン・和田

 この謎めいた怪人物は政界の知己も多い。和田はかつて学習塾経営に乗り出した。その関係から文教族議員の下村博文とも30年来の交友がある。下村は新政権で菅が自民党政調会長に抜擢した。ともに96年初当選の同期の桜だ。菅とアトキンソン、和田と下村という複雑な人脈関係について、「週刊文春」2020年10月15日号の直撃取材に対し、当のアトキンソンはこう答えている。

「私が社長になった後、和田さんを会長にした。政治家との繫がりのためです。(文化財の)修繕に日本産漆を使うべきと提言するために(和田氏から)下村さんを紹介して頂きました」

 アトキンソンは政界のパイプ作りのために和田を会長に据えたという。だが、よくよく取材すると、話は逆のようにも感じる。政界に通じる和田がアトキンソンを小西美術工藝社に入れたのではないか、という説も根強い。官邸関係者はこうも言った。

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©iStock,com

「和田は逮捕歴もあり、表舞台には立てない。それで菅総理は表の顔としてアトキンソンを使っているのでしょう。和田はカジノ・IR業界にも通じており、菅の地元横浜のドンと呼ばれる藤木企業の藤木幸夫会長とも交流があるとされます。この数年、カジノの反対に回っている藤木会長とのあいだを取り持つべく、菅総理が和田に頼んでいるのではないでしょうか」

 菅はアトキンソンとの対談でも、日本の観光にはIRが欠かせないと言い続けている。その狙いはコロナで目算が狂った。

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