Q どうして日本は総理大臣を国民投票で決めないの?

 自民党の総裁選が連日話題ですが、推薦人が一定数以上必要だったり、自分の所属する派閥や党の「長老」にお伺いを立てて、出馬できなかったり……というのを見ていると、素朴に、総裁選が国民投票にならないのは何故かと思ってしまいます。アメリカなどはもっと大統領を決めるときにも国民が参加しているように思うのですが、なぜ日本では総理大臣を国民投票で決めないのでしょうか。(40代・男性・会社員)

日本記者クラブ主催の公開討論会での候補者たち(左から河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子) ©AFLO

A アメリカと比較してみましょう

 これは「総理公選」という仕組みですね。アメリカでは予算編成も法案づくりも議会の仕事。大統領には権限がありません。大統領は議会に対し、「こんな予算を作ってください」とお願いをします。これが「一般教書演説」や「予算教書」です。議会がつくり議会で採決するので、議会で多数政党が自由に決めることができます。大統領の所属する政党と異なっていても問題ありません。

 ところが日本は議院内閣制。予算案は内閣がつくって国会に提出します。国会で決めてもらわなければなりませんが、総理大臣が国民投票で選ばれると、国会の多数政党と異なる可能性がありますね。そうすると、内閣が提出する予算案や法案が国会で次々に否決され、政治が機能しなくなる恐れがあります。そこで、国会の多数派政党のトップが総理大臣に選ばれる仕組みになっているのです。

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 総理公選にするには、日本の政治制度を大きく変えるための憲法改正が必要になります。

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