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 そして「RUN」の次のシングル「NOT FOUND」! これもまた一歩進むための「自分への問いかけ」のような曲だった。

 怖がらないで、もがいてもがいて。手足をバタバタさせるような感覚のこの曲で、私はSexy Zoneに「歌い手」として俄然興味を持つようになったのである。

「NOT FOUND」(Top J Records)

 そして今さらながら動画を漁り出し、「カラクリだらけのテンダネス」や「麒麟の子」という名曲を知ることができた。私は本当にこの後追いパターンが多い。少年隊や今井翼もそうであるが、本当にアーティストの素晴らしさに気付くのが遅い!

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「RIDE ON TIME」で語ったエリートの焦り

 もっと彼らを知りたい。検索しているうちに、Amazonプライムビデオで、ジャニーズグループの舞台裏に密着したドキュメンタリー「RIDE ON TIME」を発見。制作と放送はフジテレビで、それが現在Amazonプライムで配信されているのだそうだ。Sexy Zoneの密着回を、遅まきながら観ることにした。

 ここからひしひしと伝わってきたのは、エリート集団ならではの苦悩だ。デビューが早過ぎたゆえの準備期間のなさ。デビューの注目度をキープする難しさ。

 彼らの口から何度も出てきた言葉は「焦る」。そして全員、不器用なほど真っすぐに、その焦りと向き合う人だった。

第69回紅白歌合戦に出場したSexy Zone。左からマリウス葉、中島健人、佐藤勝利、菊池風磨(当時、松島聡は活動休止中) ©文藝春秋

 最年少、マリウス葉はデビュー当時11歳。小学校5年生! ち、チビッ子じゃないか。それがセクシーと名のつくグループの一員になり、横浜アリーナや紅白の舞台に立っていたわけである。

 松島聡は当時13歳、彼も入所間もなくのデビューだったという。長年頑張っているのに報われない、というジレンマもつらいが、「えっと今、自分の身に何が起こってんの?」と分からないまま、大舞台に立つ。そして咀嚼する暇がないまま時が過ぎる。こちらもつらい!

 だからこそ、約1年半の休養期間を経て復帰した松島聡の笑顔は、大きな意味を持つ。アイドルの「休養期間」を前向きに感じることができる眩しさである。