昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「不倫に見せかけたホラー」と阿鼻叫喚…大ヒット『ただリコ』、キスマイ北山宏光・モラハラへ“キャラ変”の理由

2021/09/29

 とある芸能人の「不倫は文化」発言が世間を騒然とさせたのも今は昔――。令和を生きる私たちにとって、不倫はずいぶん身近な話題となってしまった。テレビドラマも同様だ。以前、医療ドラマと刑事ドラマが多く作られていると記事に書いたが、次点を挙げるとしたら、恋愛ドラマならびに不倫ドラマになるだろう。

 むしろ、キュン特化のラブストーリーを中心に、恋愛ドラマが再び盛り上がりを見せたのはここ最近の話だと思うのだが、以前から人気を集めていた不倫ドラマが著しく衰退した様子はない。最終回ラッシュ真っただ中の2021年夏ドラマだけでも、『うきわ -友達以上、不倫未満-』(テレビ東京系)や『サレタガワのブルー』(MBS/TBS系)など、計4作品が該当する。

『昼顔』から7年、不倫はドラマ界にとって一つの“文化”に

 そんな昨今の不倫ドラマブームに火を点けたのが、一若手俳優であった斎藤工をスターダムに押し上げた『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年フジテレビ系)だろう。「昼顔」が流行語大賞にノミネートされ、約3年後に作られた映画版は興行収入23億円越えの大ヒットを遂げるなど、当時の社会現象だけを顧みても別格。

 昼顔妻と生物教師の王道禁断ラブストーリーをきっかけに不倫ドラマは再び盛り上がりを見せ、東出昌大がサイコな演技を見せた『あなたのことはそれほど』(2017年TBS系)や、松本まりかの出世作となった『ホリデイラブ』(2018年テレビ朝日系)など、インパクト大の作品が続出した。『昼顔』から早7年、不倫はドラマ界にとって一つの“文化”となり、令和の世まで残りつづけたのである。

 次々と量産される不倫ドラマだが、記憶に残る作品はさほど多くない。刺激物を定期的に注入された視聴者の目はすっかり肥えてしまい、作品へのハードルが上がりきってしまったからだ。スタートダッシュが良くとも、その勢いが持続できずに縮こまった結末を迎えるドラマもちらほら……。

ラストに向け勢いを増す『ただリコ』

 しかし、水曜深夜0時から放送中のテレビ東京『ただ離婚してないだけ』(以下『ただリコ』)は、序盤の驚愕エピソードもさることながら、ラストが近づくにつれて勢いを増し、急転直下のジェットコースター展開を毎度繰り広げている。

『ただ離婚してないだけ』公式サイトより)

 フリーライターの柿野正隆(Kis-My-Ft2北山宏光)と小学校教諭の妻・雪映(中村ゆり)の冷え切った夫婦生活は、正隆の不倫相手・萌(萩原みのり)の妊娠発覚を機に急変。一方的に別れを告げられたショックで雪映に襲い掛かった萌を止めようとした結果、正隆は彼女を殺してしまう。