池脇千鶴が9年ぶりに連続ドラマ主演を務めている「その女、ジルバ」(東海テレビ・フジテレビ系)が、中高年女性を中心に絶大な支持を得ている。

「その女、ジルバ」(東海テレビ・フジテレビ系) (公式サイトより)

「ホステス求ム! 40才以上」

 本作は有間しのぶによる同名コミックを原作としたもの。主人公である笛吹新(うすい・あらた)はアパレル会社で売り場販売をしていたが、「姥捨て」と呼ばれる倉庫勤務に異動させられ、沈んだ気分で40歳の誕生日を迎える。

 人生終わりモードになっていたところ、街中である貼り紙に目を留める。そこには「ホステス求ム! 40才以上」と書かれていたのだ。「40才以上⁉」と驚いた新は、超熟女バー「OLD JACK&ROSE」に思い切って飛び込む。そこから新たな人生がひらけていくという物語だ。

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 加齢に伴う周囲からの扱いの変化や生きがい・孤独など、40代女性のリアルな苦悩が描かれている。

主人公・新(あらた)を演じる池脇千鶴 ©️AFLO

働き方、マタハラ、妊娠・出産……社会派ドラマが増加

 女性のリアルな悩みを掬い上げる社会派ドラマは、最近少しずつ増えているように思う。

「わたし、定時で帰ります。」(TBS系・2019年)は働き方の選択肢が増えたことでの悩みが、「獣になれない私たち」(日本テレビ系・2018年)では社会のなかで神経をすり減らしながら生きる女性の痛々しさが描かれた。

 なかでも特にヒットしたのが海野つなみ氏原作・野木亜紀子氏脚本で、新垣結衣×星野源が出演した「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系・2016年)だろう。

 作中では「愛情の搾取」や「意思がなきゃ続かないのは仕事も家庭もおなじ」など、見落とされがちな社会の不合理を言語化した名言が飛び出し、放送後はいつもSNSに《言いたいことを言ってくれた!》といった、視聴者の喜びのコメントが溢れていた。

 みくり(新垣)の妊娠・出産・育児が描かれた「逃げるは恥だが役に立つ~ガンバレ人類!新春スペシャル!!」(2021年1月2日放送)では、その社会派リアル目線がさらに追求された。

 職場での「妊娠順番ルール」というマタハラや、夫の育児を“手伝う”スタンス、妊娠中のつわりの辛さやホルモンバランスの乱れによる精神不安、夫婦別姓問題、夫の育休などなど……。妊娠・出産にまつわる様々な不安や理不尽、社会問題などを描き、なおかつコロナ禍に生きる人々に勇気を与える内容に、共感を覚える声が寄せられていた。