裏ロムによって超博打台に変えて集客したり、カットロムによってボーナスや小役を制限したりと、闇スロではあの手この手を使って台に細工を施しているのだ。総じて多いのが通常台よりも店の利益率を上げるために、カットロムやダウンロムを巧妙に仕込んで客を欺くというケースだ。
裏ロムを仕込むためには、まずスロット台の上部を開けて基盤に裏ロムを設置する。再び蓋を閉めてしまえば、客からはその台にロムが仕込まれているものか、そうではないかを判別することはできない。
ロムの値段は6万5000円~30万円とピンキリで、値段によって出率をいじれる精度が違うのだという。闇カジノ店の「売上率」を上げるために使用されるのが裏ロムである。しかし確率論の中での調整なので利益幅は絶対ではなく、ブレが出ることもままあるという。
100万円を超える遠隔の機材
一方で「遠隔」は基盤やサブ基盤に専用ロムを仕込む形や、ハーネス(電線)や電源ボックスにICチップを仕込む形など、いくつかのパターンがある。これらの機材は送受信できる機能を持つことが大きな特徴だ。
送受信機能によりスロットのボーナスをいつ出すかとか、その台では小役しか出さないなど、スロット台を完全にコントロールすることが出来るようになるのだ。
遠隔の機材は100万円を超えるものも多く高価だ。遠隔ではスロット台を完全にコントロールすることが出来るだけではなく、客ごとの収支もコントロールが出来る。つまり、その店が完全なイカサマ店であることを意味するのだ。売上を「確実」に取りに行くことが出来るのが、闇スロ店にとって遠隔を導入する大きなメリットとなる。
「裏ロムも遠隔もどのパチンコホールでもやっている」
前回、闇スロとパチンコ業界の“グレーな関係”について書いた。
漆原氏によれば闇スロ店で横行している台の細工も「パチンコ店の人間からは『裏ロムも遠隔もどのパチンコホールでもやっているという認識でいい』と聞かされていました。闇スロもその流儀に倣っただけ」と語る。ここでもパチンコ業界から大きな影響を受けていたのだという。
「ロムや遠隔はもともとパチンコ店が確実に儲けるための仕組みだったのです。それを裏スロ店も踏襲している訳です。ロムだとその台に誰が座ってどう遊んでいるかは、見張ってないとわからないのですが、遠隔の店は客収支をパソコンで管理できる。『この客を200万円負けさせる』というようなイカサマも簡単に出来るのです。
気をつけなければならないのは、遠隔はあるていど業界に長けている人間でないと上手く操作できないということです。客にイカサマだとばれれば警察に密告される可能性もあります。客を大切しているという演出を上手くいれながら適度に勝たせて搾り取っていく。これはパチンコ店も闇スロ店も同じだと思うのですが、遠隔のようなイカサマを店が行っているということは店の一部の人間しか知らない。多くの従業員は知らない“秘密”でなくてはならないのです。