特に闇スロ店が気を付けないといけないのは、アングラビジネスなのでパチンコ店のような大規模な宣伝が出来ず一見の客を広く集めることができないということです。そこで口コミの評判が大事になるのです。だから客にはイカサマだと絶対にバレないようにやらないといけないのです」(漆原氏)
「おれはハメられているんじゃないか」と言い出す客も…
ロムや遠隔が存在するという噂は、闇スロに通う客もある程度は耳にしているものだという。だから「おれはハメられているんじゃないか」と言い出す客も少なくない。ポンコツ店では、イカサマだと悟られないよう客の目を逸らす演出が求められるのだ。
例えばあるポンコツ店では客前にパソコンを設置していた。パソコンで闇スロの収支表を客の目に触れる形で公開していたのだ。
「もちろんそのパソコンで公開しているのは偽収支表です。裏のキャッシャーで本当の収支をキッチリ管理している。どの客がいくら使って、いくら負けているのかをリアルタイムで管理しているのです。まさにキツネとタヌキの化かしあいですよね」(同前)
何が闇スロットを生んだのか
漆原氏はここで悩まし気な表情を見せた。「本来、遠隔は負けすぎている客を、勝たせてあげるためだったはずなんですけどね。いまでは客を嵌めるために利用されることばかりです」と、小さなため息をついた。ポンコツ店が横行することはギャンブラーの世界にとっても決していいことではない、と感じているようだ。
「渋谷や新宿の各街に手広く出店しているあるグループの闇スロ“ポンコツ”店では、月アベレージで2000万円の純利益を上げていました。遠隔でコントロールして、経費・人件費を差し引いた上で現金2000万を残すことを店として徹底していた。まさに荒稼ぎですよね。この店は警察の生活安全課のOBと癒着していたので摘発を逃れ続けていました」
漆原氏の証言から浮かびあがってくるのは、パチンコ・パチスロ店が闇スロを誕生させた大きな要因となっているという現実である。パチンコ店と警察の絶妙なバランスで成り立っている表のギャンブルがパチンコやパチスロならば、それらの全てを手本としつつ地下に潜って行ったのが闇スロなのだ。
その経営手法から、高い射幸性を忘れられない客まで、闇スロを構成するものの全てのベースとなっているものが“表のギャンブル”なのである。