上皇ご夫妻の努力に傷をつけかねない
世間と皇室との関係を考えるとき、平成の時代に天皇、皇后として公務に身を捧げられた上皇ご夫妻の姿を浮かべる国民が多いだろう。
秋篠宮さまは2011年の東日本大震災から平成が終わるまで、天皇としての終盤の時代を命を削るようにして務められた上皇さまの姿を間近で見ている。上皇さまと現在の天皇陛下に、当時の宮内庁長官を交えた定期的な話し合いにも臨まれていた。この場では皇室をめぐるさまざまな重要事項が話し合われており、退位についての話題もかなり早い段階からあったとされる。皇位継承者の一人としても、上皇さまを手本とされてきたことは疑いがなかろう。
それだけに、自分の世代がバトンを受け取った途端、平成の時代の努力に傷をつけかねない問題が身内から生じたことには、忸怩(じくじ)たる思いもなさっているだろう。
小室さんの好きな言葉は「LET IT BE」
その上皇さまは50歳になった1983年の会見で、好きな言葉を「忠恕(ちゅうじょ)」だと明かされたことがある。忠恕とは自分自身の誠実さと、そこから来る他人への思いやりのことで、天皇陛下も50歳になられた2010年の会見でこのくだりを引用。「他人への思いやりの心を持ちながら、世の中のため、あるいは人のために私としてできることをやっていきたいと改めて思っております」と述べられている。
一方、眞子さまと小室さんが臨んだ冒頭の4年前の会見でも、小室さんが記者に問われて好きな言葉を挙げるくだりがあった。その言葉は「LET IT BE(レット・イット・ビー)」だ。
「あるがままに」「放っておけ」などと訳せるこの言葉自体に罪はないが、今にして思えばすでに皇室との不穏の種が秘められていた気もしてくるから不思議だ。誠実に国民に寄り添う謙虚さを重んじてきた皇室には、小室さんは元々距離のある存在だったのかもしれない。奇しくも人気の動画投稿サービス「Tik Tok」では最近、当時の「LET IT BE」発言が人気となり、若者たちが小室さんを「いじる」現象も生じている。
逆風をひっくり返す、あるいは弱める最後のチャンスは、26日に再び開かれる会見だが、あるがままの姿で四面楚歌の事態を招いた法律家の卵に成長はみられるのだろうか。