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がん患者の半数が民間療法を利用しているという現実──実際に体験してみて

週刊文春「徹底検証 著名人がすがった『がん民間療法』」取材の裏側 (前篇)

2017/11/14

「命がかかっているから、ほぼ毎日3時間やっていました」

 私も、この日の講習会に参加していた20人ほどの会員さんたちに混じって、郭林新気功を教えていただきました。この気功は、目を閉じて、体の力を緩めていく姿勢から始まります。丹田(へその下あたり)に気を込めた後、講師の「シーシーフー」のかけ声に合わせて呼吸をしながら、みんなで輪になって歩き続けました。

 その後、再び力を緩め、休息も含め一通り教わるのに基本の歩く講習は30分ほどで終了。その後の1時間半は習得別のグループに分かれていろいろな功法を教わります。これを本格的にやれば、病気と闘っている時には日常の生活の中で、休息も含めて3時間はかかるそうです。これらの所作を正しく覚えるのは簡単ではありません。なにより、毎日3時間も続けるのは大変だと感じました。

「でも、命がかかっていますから。最初の3年は必死で、ほぼ毎日3時間やっていましたよ」

 そう話すのは、同じく講師で、気功歴20年のMさん(女性・68歳)です。46歳のとき左右の乳がんの手術を受けたMさんは、その6年後に左の脇の下に腫れを感じ、リンパ節転移と診断されました。

最近はがん予防というより、体調を整えるのが目的に

 手術を受けた後、医師から抗がん剤治療を受けるよう強く説得されましたが、6年前、治療後に家族で行った旅行先で足が前に出なくなり、高熱が出た経験があったため拒否。その代わり、気功で治すことを決意したそうです。さらに6年後、胸の表皮に再発したが、放射線治療を受けて、その後は何事もなく過ごしています。主治医のお医者さんには、現在も定期検診で通っているとのこと。

「今も近隣の公園で、気功を続けています。最近はがん予防というより、体調を整えるのが目的になっています。忙しいときも、朝、気功をすることで、いい状態の心身に戻せるんです。精神的にも元気なのは、気功のおかげが大きいと感じています」(Mさん)

 自然療法の気功も、本当にこのおかげで治ったとは断言できません。ですが、どちらも体験をしてみて、身体だけでなく精神にも癒しを与えているのは確かだと感じました。患者さんたちは、どんな気持ちで民間療法を行っているのか。そして、民間療法とどう向き合うべきなのか。次回も体験を踏まえて、民間療法について書いてみたいと思います。

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