敬愛する音楽人の姿と「教え」
今回のミニアルバムに収めた曲の多くは連載と並行してつくっていたものになりますけど、原稿の執筆は曲作りにも大きく影響を及ぼしました。
自分はどんな音楽が好きなのか、受け入れられないものは何なのか……。書きながら考えたいろんな事柄が、サウンドや歌詞の土台になっていきましたから。
原稿にしたためたお名前は日本の音楽人なら筒美京平さん、藤圭子さん、浅川マキさん、内山田洋とクール・ファイブなどなど、昔から僕がずっと憧れてきた人たちばかり。そう、オールタイムベストの「日本の三大名曲(ポップス)」を考えたりもしてみましたね。
海外の音楽だとビートルズにはじまりボブ・ディラン、エリック・クラプトンやマドンナと、音楽的・ビジュアル的に刺激を受けた面々へのリスペクトもしかと書き留めたつもりです。
今回の制作の際には、これら敬愛する音楽人の姿と「教え」が、チラチラと頭をよぎりました。アルバムが充実した内容になったのは、連載のおかげだったといって過言じゃありません。
連載していた時期に音楽面でのアウトプットが少な目だったから、エッセイのせいで音楽にまで気が回ってないんじゃないか? などとあらぬ疑いを招いたフシもありますが、いえいえ、どちらも全力でずっと奮闘し続けていたんですよ。なのでこのたび完成と相成った作品と書籍は、併せて楽しんでいただけたら本望です。
原由子さんのあとがき「女房の日記」はオススメしたい
書籍の読みどころはどこか、ですか? どのエッセイも一本ずつ苦労して書いては消し、消しては書いてと完成させたものなので……。全部です! と力を込めて言いたい気分ですね。
そうだ、中でもぜひオススメしたいのは、巻末の「あとがき」です。「女房の日記」と題して、原由子さんが筆をとってくださっております。僕が原稿書きに苦心するさまをすぐそばから見守ってくれた記録が綴られていて、
「おおそうか本当に、桑田なりに真面目に悩んだり粘ったりしながら書いてたんだな、偉いじゃん!」
と、思っていただけるかなという気もいたします(笑)。
(取材・構成 山内宏泰)