――以降、現在の事務所アルファセレクションに所属していらっしゃると。
白畑 入って、もう10年になりますね。単独でやっていくのも大変だし、仕事の枠も広げたいなとは思っていたんです。
ユニットのメンバーと映画に出させていただいたりすると、僕が請求書を書いたり、他のメンバーが現場に行く時の手配もやったりしないといけなくて。そういう事務仕事みたいなものに、ヒーヒー言ってました。それで事務所を探していたら、アルファセレクションを知っている知人がいて。話を聞いたら「白畑に合うんじゃないか」と言われて、連絡してみたら「俳優は個人事業主だからともに目標に向かって社長同士の共同事業をしましょう」と。
――映画、テレビ、舞台はコロナの影響で、制作が思うように進まなかったりして大変だと聞いています。そうしたなか、コロナで困窮するスタッフや俳優、劇場を救うために企画された『シュシュシュの娘』(8月21日より全国順次公開中)に白畑さんも出演されています。相当に深刻な状況なのでしょうか?
白畑 マスクをしていても、本番になったら外さなきゃいけないですからね。役者も危険なところにいるなと感じますね。たとえば連ドラだったら、レギュラーで入っている役者さんはしょっちゅうPCR検査をやっているけど、そこへ撮影は1日だけというレギュラーじゃない役者さんが入ってきたら、どうしても危険度が上がってしまうわけですから。
あと、デルタ株の影響もあるのか、制作される映画の本数が減った気がします。あくまで僕の実感ですけど。減ったというより、延期になってしまった企画が多いというのが正しいかもしれません。
僕は自主映画にも出演したり制作に関わったりしているんですけど、そういった小さい作品は演技して終わりではなく、他のことも手伝わないといけない。そういうのもあって、現場が好きなんですよね。出るだけじゃなくて、現場にいるみたいな。そういう機会が少なくなるのは不安だし、悲しいですよね。
「なんかいるよね」と思われる役者になりたい
――「水曜日のダウンタウン」もコロナ対策はしっかりと。
白畑 徹底していますよ。スタッフも僕もきっちりPCR検査をやっていますし。あと、そもそも僕は「水曜日のダウンタウン」では一言も喋ったりしませんから。
――俳優として、大きな目標みたいなものってありますか?
白畑 ないですね(笑)。昔はありましたけど、そういうものは歳を取ると段々となくなっていきました。もちろん、自分の手で映画や舞台をやりたいとは思いますけど、それよりも名前なんか知られなくてもいいから「この人、なんかいるよね」とか「この人、よく見るよね」みたいに思われる役者になりたいですよね。まぁ、「人がいる」シリーズでは後部座席とかクローゼットにいるわけですけど(笑)。
写真=松本輝一/文藝春秋
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