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団塊世代の“安否確認の場”となった“ラジオ体操”はいつまで続く? 15年後、新人類世代に必要な“コミュニケーションツール”とは…

2021/10/19
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ラジオ体操騒音問題

 なにもあんなに大きな音量で体操しなくたっていいのに。でもこれを言うと「体操して何が悪い!」と怒られるんだよな。実際にこのラジオ体操騒音はよくワイドショーなどで取り上げられる街の困りごとのひとつらしい。浜辺のラジオ体操ではサイクリング道路にまではみ出して体操するので、サイクリストは自転車を押して歩かなきゃならない。神社の境内でも参道にまで広がって体操するので、お参りに来た人が遠慮がちに迂回しながら通過していく。

 たかが15分ほどの活動だ。そんなにキナキナしなくてもよいのではないかと言われそうだが、夜勤明けの人たちにとって家の前の公園でガンガン音楽かけて体操するのは、爆音をたてて家の前を通り過ぎる暴走族とあまり変わらない迷惑行為なのかもしれない。湘南を走る暴走族も最近は高齢化が激しいが。

新人類世代には、新しい体操を

 でもまてよ。あと10年、15年がたつと、彼らのうちの多くがなかなか毎朝体操をすることは叶わなくなるかもしれない。人間誰にでも寿命はあるのだから。そのとき、リタイアした我々世代は果たしてラジオ体操をしているのだろうか。ご立派だがどこか態度の大きいように感じる諸先輩がたの前で、なんとなくその場がよければと従ってきた我々世代が、彼らが愛する、規則正しいラジオ体操ごっこを好むとは思えない。

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 新人類世代には、新しい体操が必要なのではないか。我々の若いころに熱狂したのは何だろうか。そうだ! ディスコだ、ジュリアナだ。ジュリアナのお立ち台に上り、扇子をヒラヒラとさせた女子に熱狂したあの頃。ボディコン、ワンレン、輝かしい日々だった。

 さて、10年後の公園、神社、浜辺の朝は僕たちのものだ。お立ち台をこしらえて女子たちに上がってもらい毎晩、否、毎朝踊るぞ! でも誠に残念なことに当時の女子、将来のおばあちゃまにボディコン、ワンレンは厳しいか…手にした扇子はきっとヒラヒラさせるものではなく、暑さをしのぐためにパタパタする道具になってしまうかもしれない。

“お立ち台”に登るインストラクターと共にズンバを踊る 筆者撮影

 最近はズンバというフィットネスプログラムが人気だ。サルサ、メレンゲ、ミロンガなどのラテン音楽を中心にヒップポップ、フラメンコ、タンゴ、ジャズなど様々な音楽要素を盛り込み、多少歳をとっていても自身の体調にあわせて楽しく踊ることができる。

 15年後の日本の朝は、新しいコミュニケーションツールとしてズンバを踊る年寄りがたむろする、そんな時代になっているかもしれない。まあそれでもよいではないか。楽しきかな日本の老後。

団塊世代の“安否確認の場”となった“ラジオ体操”はいつまで続く? 15年後、新人類世代に必要な“コミュニケーションツール”とは…

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