昭和3年に発案されたラジオ体操
ラジオ体操の歴史は古い。1928年(昭和3年)に逓信省簡易保険局が国民の健康増進を目的に発案し、NHKや文部省、生命保険協会などを巻き込んで老若男女誰でもが参加できるように作成されたものだ。1932年には青壮年向けの強度の高いラジオ体操第二が考案され、1938年には第三までが作成され終戦前日まで全国で行われていたというから驚きだ。
現在の第一、第二は戦後1951年、52年に出来上がり現在に至っている。全国ラジオ体操連盟というNPO団体が存在。ラジオ体操の普及を推進していて、あまり知られていないが、1級ラジオ体操指導士、2級ラジオ体操指導士、ラジオ体操指導員を養成している。
ラジオ体操の場がお年寄りのコミュニティに
そんな日本の朝のお馴染みの風景であるラジオ体操なのだが、ウォーキングをしていて驚いたのは、神社や公園で体操をしている面々が、昔のような子供たちではなく、圧倒的にお年寄りということだ。60歳代後半から80歳代のおじいちゃま、おばあちゃまが、耳が遠くなりがちなので仕方がないことだが、大音量の音楽でややリズムに遅れがちになりながら体を動かす。お年寄りにとっては、朝早く起きることは苦労ではない。そして体操をすることはもちろん健康に悪いはずがない。そしてここからが大事なのだが、このラジオ体操が間違いなく一つのコミュニティを形成しているのだ。連れ合いに先立たれたお年寄りも多いので、ラジオ体操の場が互いの安否確認の場にもなっているという。
この世代の特徴は、団塊世代に代表されるように、みなで集まって何かを一緒にするのが好きな世代だ。そして皆が同じ行動をすることで一体感を覚え、成果を発揮してきたのである。そうした目でこの体操風景を眺めると、いる、いる、集まってくる人たちを仕切っているリーダーの姿が。場所によっては体操をする全員がお揃いの体操着を着ている。これを日本人に「あるある」の同調圧力と言うと言いすぎかもしれないが、団塊世代の下に属する我々の世代(当時は新人類などと言われた)にとってはなんだか苦手な光景だ。