これは10年前の発売当時に製造された「トール缶」で、悲しいことに10年で300個しか売れず、更に大きいサイズの「ファット缶」は10年で100缶しか売れなかったのだそう。
するとこのカラフルな見た目が多くの人の目を引いたのか、投稿後、会社には喜びの変化が起きたのだ。
まずは「小売り販売してほしい」といった直接の購入を求める声が多く届いた。加えて、アニメイトを始めとした、これまでとは全く別の業界から声掛けしてもらう機会が増え、新たな販売ルートが開けることになったという。
側島製罐は小売販売の希望を受け、2021年1月に通販での小売りを開始。ただ、ツイートしたトール缶とファット缶は在庫の経年劣化や新たに量産するのが難しいという事情もあって、通販は「ワーク缶(縦31.3×横23.2×高さ5.3センチ)」「スクエア缶」「ラウンド缶」の3種類に絞った。
そして商品を手に取った客からの声を直接聞けるようになったことで、社員たちも仕事の価値を改めて認識し、そのことがやりがいに繋がり、会社の雰囲気も大きく変わったという。
売り上げも、10年間で300缶ほどしか売れなかったというA4サイズの紙がすっぽり入る「ワーク缶」がこの1年で一番伸びたそうで、300缶ほど売れたとのことだ。
新たな使い方「推し活」で注目
嘆きのツイートをきっかけに、大きく変化することになったCandy缶。アニメイトから声がけがあったということだが、どういった部分が注目されたのだろうか?また、この変化を会社側はどのように思っているのだろうか?
ツイートの投稿者で、側島製罐株式会社の“6代目予定アトツギ”である石川貴也さんに話を聞いた。
ーーなぜ廃棄前に、嘆きの投稿をしたの?
廃棄作業を始めたときに缶を並べてみたら「とてもカラフルでステキだな」と改めて思い、最後にTwitterに「全然売れませんでした~残念。」的な投稿をしようと思っていました。せっかく可愛いのに捨てるのが忍びない…という思いです。
もともとBtoBでは、私たちのtoBのお客様にはカラフルなラインナップをお見せできていたのですが、エンドユーザーの方に届くところには一色しかお見せできていないということも、少しモヤモヤしていて、そこで「最後にフルカラーでお見せしてみようかな」と思って写真を投稿した次第です。
ーー新たな販売ルートが開け、通販での小売りを開始。こういった変化をどう思う?
こうして自社商品に対してお褒めのお言葉をいただく機会というのは多くなかったので、大変嬉しく感じておりました。
弊社の社員も、最初は通販小売りに対して半信半疑のような眼を向けているきらいもありましたが、実際に商品が売れてお客様の声が届くことが多くなるにしたがって、みんな喜んでいるようでした。特に最近は、その影響でメディアにも出させていただく機会も増え、家族や友人から認知されることも増えて、大変喜んでいる状況です。