「俺らはずいぶんラッキーだ。(ペーパーカンパニー)2社を作っていたから、400万円を取れるということだな」「MAX600万円やれよ」
法廷では、元経産省キャリア・桜井真被告(28)と新井雄太郎被告(28)の生々しい”やり取り”が読み上げられた。
2人は、2020年5月~21年1月、コロナの影響で売り上げを減らした企業の関係者を装い、国の持続化給付金400万円と、家賃支援給付金およそ1150万円をだまし取った罪に問われている。事件発覚後、役所を懲戒免職となっていた。
合わせておよそ1550万円の使い道は、桜井被告が暮らしていたタワマンの家賃、ギャンブル、クレジットカードの支払い。”彼女”への小遣いは月150万円。高級腕時計パテックフィリップの購入費用は600万円弱。浪費の限りを尽くしていた。
まるで半グレのようだ。
11日に開かれた初公判で2人は起訴内容を認めた。
主犯の桜井被告は、依然、勾留中の身。髪の毛はボサボサ、上下スウェット姿で、「全て間違いありません。私のせいで新井君含めて様々な関係者を巻き込んでしまって、大変申し訳ありません」と大きな声で答えた。
従属的な立場だった新井被告は、すでに保釈されていた。スーツ姿で証言台の前に立つと、小さな声で「間違いありません」と述べた。小柄な新井被告に対して、桜井被告は、かなり長身に見えた。そんな対照的な2人が、キャリア官僚の頭脳を使い、犯行を重ねていく。
冒頭陳述などによると2人は高校の同級生にして、同じ経産省のキャリア官僚だった。桜井被告が、新井被告に対して、ペーパーカンパニー2社の名義で給付金をだまし取るよう指示した。新井被告には、それに従わざるを得ない”負い目”があった。
桜井被告は2017年、大学時代の友人らとベンチャー企業を設立したが、その後、金銭トラブルが原因で仲違いをする。訴訟沙汰にまで発展する中、新井被告は、裁判を有利に進めるため、関係者に”偽証”をするよう持ちかけた。ところが、その様子が盗聴(録音))されていたのだ。