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 千葉の渋谷などと呼ばれるようになったのがいつからなのかはわからないが、ストリートミュージシャンが多く活動していたとか、若い人が集まる店が多かったとか、そういう状況がだんだんと生まれていったのだろう。柏神社付近の路地は“裏原宿”をなぞって“裏柏”、通称“裏カシ”などと呼ばれているという。

 確かに商店街の裏の道などを歩いていると、東京のちょっとした街に見られるような個人店がいくつもあった。飲食店から古着、雑貨の店までジャンルもさまざま。これならば、この一帯の人たちがわざわざ渋谷までいかずとも柏でお買いものを済ますことができる。

 

現れたライバル「つくばエクスプレス」

 ただ、そんな柏もそごうが撤退したことからわかるとおり、順風満帆とは言いがたい。柏駅のライバルになっているのは、同じく柏市内を通っている第三の鉄道、つくばエクスプレスだ。つくばエクスプレス沿線は、鉄道が通ったことによって2000年代以降急速に開発が進んでいるのだ。

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 すでに密集市街地が形成されていて開発の余地が乏しい柏駅周辺に対して、市北部を通ったつくばエクスプレス沿線はまだまだ開発の余地が残っていた。とりわけ柏の葉キャンパス駅を中心とした柏の葉地域の開発が著しく、柏という市全体で見れば重心は明らかにそちらへと移りつつあるようだ。そごうが撤退してがらんどうの回転展望レストランのビルは、まさにそうした状況を象徴しているものといっていい。

 

 柏駅周辺も、入り組んだ路地の合間にタワーマンションが建っていたり、少しずつ再開発が進んでいるのであろうことがわかる。団地という巨大住宅地を背後に抱えて商業都市の玄関口として発展した柏駅は、街の代謝をどう進めていくかという新たな岐路に立っているのである。

 ちなみに、柏といったら多くの人が思い浮かべるであろうJリーグの柏レイソル。そのホームスタジアム・三協フロンテア柏スタジアムは柏駅から徒歩20分。柏駅東口の商店街の間を抜けて進んだ先にある。レイソルが勝った日曜日の午後なんて、商店街の居酒屋は実に賑わうんでしょうねえ……。

 

写真=鼠入昌史

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