10月1日、2か月半も続いた緊急事態宣言が明けた。長かった……。SFの世界か悪夢の中にいるような日々。感染への恐怖はもちろんだが、閉鎖感で心が死ぬかと思った。
私はこの期間、アイドルの動画に本当にお世話になった。つくづく思う。アイドルとは生命力の塊だ、と。蒼々しい若さ、そして迸るエネルギー。自分の美しさや魅力を自覚し(もしくは模索し)ながら、観ているこちらに元気を届けてくれる。なんと眩しいことか!
令和元年にデビューしたハロプロの新星
その中でも、特に繰り返し観たのがBEYOOOOONDS(びよーんず)の動画である。令和元年にハロプロからデビューした12人のグループアイドルだ。デビューから1周年、さあこれからというときコロナ禍に突入。アニバーサリーライブが中止になる不運にぶち当たった。
しかし、そんな中でも感染防止策に工夫を凝らしながら笑顔を発信し続けた彼女たち。
大きなジャンプができない時期でも、まさに「びよんびよん」と飛ぶその姿に、明るく過ごす勇気とパワーをもらったのである。
BEYOOOOONDS楽曲の大きな特徴は「寸劇が入っている」ことである。こんなハイリスクな試みを一般認知させたのが、まずすごい。
“恐るべき最年少”清野桃々姫の素晴らしさ
デビュー曲「眼鏡の男の子」は、まさに斬新にもほどがある構成だった。
いきなり「あ、さてさて……」と弁士風なセリフから始まり、歌に入るまで約1分半、続くお芝居。
内容的には、青春の甘酸っぱさが充満した名曲なのだ。ヒロインが電車で会うメガネ君を好きになるが、ライバルも多い。さあ、どうお近づきになろうか……と思っているうちにメガネ君には彼女ができ、コンタクトレンズに変えてしまう。ヒロイン役、山﨑夢羽の「(眼鏡を取ったら)たいしたことないじゃん」という強がりな歌詞でオチがつくのが最高に萌える!
劇作家の野沢トオルのもと、エチュードを受けているだけあって、全員とにかく芝居がうまい。それに眼鏡の男の子役、前田こころの完成度が凄い。長身と少女マンガばりに輝く瞳を持ち、「車両の女の子ほぼ全員に惚れられる」という無茶なキャラ設定も、「この子ならあり得る」と思える。
とはいえ、これは全編観たから言えることである。寸劇の最初の方でなんだなんだ何が始まったんだと離脱されるリスクも高い。「奇をてらわず、普通にデビューさせてあげてくれよ……」と思ったファンの方も多かったのではなかろうか。