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全日本と箱根で予想される「強豪校の巻き返し」

 ただ、今回苦戦した強豪校は、敗因が明確だっただけに、全日本と箱根では十分に巻き返しは可能だ。もっとも、主力選手の足並みが揃うことが大前提となる。

 6区間45.1㎞の出雲駅伝に対して、全日本は8区間106.8㎞、箱根は10区間217.1㎞と距離が延び、走者の数も増える。多くの大学が箱根を最大の目標にして夏合宿を送っており、全日本から箱根へとコンディションを上げてくるのは確実だ。大学駅伝三冠を目標に掲げていた駒澤大、青学大、早大などは出鼻を挫かれたが、このまま黙ってはいないはずだ。

 出雲2位の青学大は、今季エース格に成長した近藤幸太郎(3年)が、1区区間賞と駅伝でも結果を残した。また、「一時は6位、7位も覚悟しました」と原晋監督が振り返るように、2区以降は先頭争いになかなか加われなかったが、アンカーの横田俊吾(3年)の2人抜きの快走もあった。とにかく選手層が厚いのが今季の青学大の特徴だが、流れを変えられる選手が出てきたのは収穫。距離が延びる全日本や箱根こそ、このチームの本領が見られるだろう。

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青学大のアンカー・横田は独特の走り方で大学初駅伝を好走 ©文藝春秋

 出雲でのサプライズとなったのが3位の東洋大だ。宮下、松山の飛車角落ちともいえるオーダーだったのにもかかわらず、後半に順位を上げ、しぶといレースを展開。注目のルーキー・石田洸介が、区間2位に20秒差を付けて5区区間賞に輝くなど大きな収穫もあり、今年の箱根に続きトップ3の座を守った。宮下、松山が戻れば、さらなる強力な布陣が築けそうだ。

前評判の低かった東洋大だが、ルーキー・石田の活躍もあり3位に食い込む ©文藝春秋

 駒澤大は5位に終わったものの、アンカー田澤の3人抜きの走りには鬼気迫るものがあり、“このままでは終われない”という強い意志を感じた。また、レース後に駒大、創価大、帝京大が合同で行った5000mのタイムトライアルでは、今回は補欠だった4年生の佃康平が快走を見せ、チームもすでに、連覇がかかる全日本を見据えている。9月に右脚大腿骨を疲労骨折した鈴木が戻れば、言うまでもなく再び優勝候補に名前が挙がるだろう。

圧倒的な優勝候補の駒大は5位に沈んだが、アンカー・田澤は3人抜きと気を吐いた ©文藝春秋

 今回は不振だったが、早大や順大も流れに乗った時には十分に頂点を狙えるだけのメンツはそろっている。

 今年の箱根駅伝で2位になった創価大に続き、今回の出雲では東京国際大が大躍進を果たし、大学駅伝界の勢力図が大きく変わりつつあることを示した。

 今季の駅伝シーズンも、優勝争い、シード校争い共に激戦が繰り広げられそうだ。