今年は2年ぶりに“神在月”の出雲路に大学生ランナーの足音が響き渡る。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止になった出雲駅伝が、10月10日に2年ぶりに開催される。
1年間を通して試合自体は数多く開催されているが、多くの大学生ランナーが目標としている舞台が、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の「学生三大駅伝」だろう。
もちろん関東の大学は箱根駅伝を最大の目標としている場合が多いが、地方の大学にとっては、全国中継のある出雲駅伝と全日本大学駅伝は、母校をアピールするまたとない機会になる。コロナ禍真っただ中だった昨年の出雲駅伝は、台風による悪天候で中止になった2014年以来2度目の中止となり、落胆した大学生ランナーは多かったのではないだろうか?
出雲駅伝の面白み
ようやくトラックの試合は開催されるようになった(三重国体など中止になった大会もある)が、ハーフマラソン等のロードレースは、感染状況を鑑み昨年に引き続き、今年も数多く中止になっており、ロードでの実戦の場が少ないのが現状だ。だからこそ今季の駅伝シーズンを睨むうえで、出雲は貴重なロードレースの1つとなる。
昨年12月からはトラックの長距離レース(800m以上)で着用できるシューズのソールの厚さは「25mm以下」と規定が変わった。つまり、トラックレースでは昨今主流の“厚底シューズ”が使用不可となり、なかなか実際のレースで履く機会がない。
ロードレースではソールの厚さが40mm以下のものまで使用可ということもあり、レースで厚底シューズを試せる貴重な機会にもなる。また、今回からは前日に6区間のオーダーを登録し、当日にも2名まで補欠選手からオーダー変更が可能になった。各校のレース前日からの駆け引きも見逃せない。
大学駅伝初戦からタイトルを狙いに行くチームもあれば、出雲を経験の場とし、それを踏み台にして全日本、箱根へと調子を上げて行くチームもある。出雲駅伝には様々な側面があり、各校の思惑を窺い知れるのもこの駅伝の面白みだ。
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駒澤大は今年も昨年度以上に戦力が充実
学生三大駅伝の全てを制し三冠を成し遂げたのは過去に4校しかない。昨年度(2020―21年シーズン)は、駒澤大が全日本と箱根の二冠を果たした。仮に出雲が開催されていれば、史上5校目の三冠を達成していた可能性もあっただけに、無念にも新型コロナ禍に快挙を阻まれた形になった。
その駒澤大は今年も昨年度以上に戦力が充実している印象があり、出雲でも優勝候補筆頭の呼び声が高い。