専務T氏の“独裁体制”がパワハラ体質の温床に
では、なぜこれほどまでにさくらんぼテレビではハラスメントが横行しているのか? その原因として証言者が声を揃えて名指すのは、専務のT氏の存在である。
前出の現役社員が語る。
「T専務はもともとフジテレビに出入りしていた制作会社の社員でした。さくらんぼテレビの開局にあたって彼は『開局準備室』に入ることになり、局の立ち上げにかかわることになったのです。そんな経緯もあってか、10年以上前から社内はT氏中心に動いていたようで、ある新入社員が『この会社はどうしてこの人中心に動いているんだろう?』と思うほど、あからさまだったようです。専務になった今では社の人事権を完全に掌握しているので、歯向かえる社員は誰もいないと聞いています」
このT専務の“独裁体制”こそが、さくらんぼテレビの“パワハラ体質”の温床なのだとBさんも言う。
「多くの社員にパワハラめいた言動をしていたZ氏はもともとT専務の子飼いで、その影響を強く受けています。T専務自身もよく各部の部長をはじめとした管理職を誰かしら呼びつけては説教していて、時には2~3時間にわたることもあった(※さくらんぼテレビ側は「そのような事実はありません」と否定)。私たち現場のスタッフがいる前でも『お前は局長の器じゃねえんだ!』『俺が作ってきたニュースを全然わかってねえな』と叱責することもよくありました。とにかくその人のやり方を徹底的に全否定する。結果的に管理職はみんなT専務の顔色を窺ってばかりで、思考停止に陥っています。
T専務は『おれは専務だぞ!』が口癖で、自身の叱責が終わった後には『お前らがパワハラだと思うならそれで構わねえ』と開き直ったような態度をとることも多かった。そうやって社内のハラスメントを容認しています。そんな土壌があるからこそ、上司が変わってもハラスメントが絶えず、離職する人が後を絶たないのだと思います。フジテレビ系列はもちろん、県内の他の系列局内でも『さくらんぼテレビのT専務はやばい』という話は耳にしました」
証言者は「報復が怖い」とも…
しかし、なぜこれほどまでハラスメントが横行している中で、誰も声を上げようとしないのか。Bさんはその理由についてこう語る。
「自分が正しいことを言っているという自信はあります。でも正直、報復が怖い。会社を辞めた後でも同じ業界で働いていれば変な噂を流される可能性もある。ある元社員も自身のSNSに捨てアカウントらしきアカウントから中傷めいた書き込みをされて怯えていました。ただ、私の証言で少しでも今働いている人たちの環境が良くなればと思います」
さくらんぼテレビは多くの関係者の告発の声に対し、一体どんな答えを返すのか。10月14日、取材班はT専務を直撃した。
【#2へ続く】
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10月21日(木)21時からの「文春オンラインTV」では本件について担当記者が詳しく解説する。
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