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「パワハラが原因の退職は今回が初めて」

――2019年には全社員60名程度の中で、17人と多くの人が辞めたそうですね。これは異常な数字では?

「その年にその人数が辞めたかは記憶が定かではありませんが、私の認識としてはパワハラが原因で辞めようとしているのは、今回(のアナウンサーAさん)が初めてのケースです。私の知る限りでは『パワハラが原因でこの職場では働けません。辞めます』と言った人はこれまでいない。もちろん社を辞めるときには本人の意思確認もして、理由も聞くし、引き留めもする。その席で『この労働環境では働けない』と言った人は1人もいません」

――アナウンサーのAさん以外に、別の休職している社員へのハラスメントがあったとも聞いています。

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「その件も本人からは『パワハラが原因で休職する』とは聞いていません。私はこの業界が長いのですが、当時とは時代が違うので、今の時代にあった労務環境を作らなければいけないとは思っています」

――今の時代にあわせた配慮というのは具体的に何を?

「管理職の言葉遣いや、業務分担・業務量などですね。以前とは比べ物にならないくらい手厚く配慮していると思います」

認められない残業時間「うちは自己申告制ですから」

――残業を普通につけると上司が勤務表を受け取ってくれないので、残業時間を少なく書かざるを得なかったという話も聞きました。

「それも受け止め方だと思います。それまでの経験から、『決められた仕事をどのくらいの時間でできるのか』というのを社員自身が考えて、残業は自分の裁量の範囲でやっています。そこは上司から見れば『この時間内にやるべきだろう』という勘定はあると思う。ただ、そういった考えが実際に(社員の残業代を)減額するための圧力にはなっていないと思う。うちの残業時間は自己申告制ですから」

写真イメージ ©️iStock.com

――先輩社員からスマホを投げつけられたり、「死ね」というLINEのメッセージが送られてきたという話もありますが、そういった実態は聞いていますか?

「それは被害を受けた本人から聞いています。それに関しては事実確認をしているし、加害者当人にも確認しています」

――「死ね」などの暴言は社内では日常的だったのでしょうか?

「それはありません。ただ、私もいつも現場にいるわけではない。報道を長くやってきた人間として、編集会議などに顔を出して『こうするべきじゃないか』と言うときはありますが、ほとんど現場のやりとりを見ることができない立場にいます。四六時中、指示するのは時代が違いますし」