ずっと爆弾を抱えて歩いているのもイヤだな、と
旦那 あなたは、高血圧が長く続いていたにもかかわらず、降圧剤を飲むことはずっと拒否していたよね。
この前の大学病院でも手術を拒否したわけだけど、今回、手術を受けようと考えを変えた理由は?
清水 「眉間の奥の血管が切れているから手術した方がいい」と勧められて、「はい、そうですか」とすぐに了解するのはよくないと思った。手術が終わってボケてましたじゃいかんでしょう、と。
治るか治らないかというのは、ケース・バイ・ケースなんだろうと思うのよ。絶対にこれをやっておけば何にでも効くとか、受けていれば何とでも、どうとでもなるとかっていうことでは全然なくて、信じ過ぎてもいけない。
ただ、これまでに私は何度か寄り目になったりしてるわけだから脳のどこかに何かがあるんだよ。今回は3回目だし、ずっと爆弾を抱えて歩いているのもイヤだな、と思うようになったのよ。
先生は「あのね、それだけやってればね、普通死んでるよ」って言ってた。みんな、その人に必要な経験をしているはずなんだと。
旦那 なるほど。
くも膜下出血になると、歩いて帰れる人は4人に1人
清水 いろいろな先生と話したけど、代替治療の理解の仕方と、普通の医者の話をくっつける作業に2週間かかったみたいな感じかなあ。いまはもう納得したから大丈夫。
いま、私は顔も大丈夫だし、手足も大丈夫じゃない? で、頭の中も動いてるじゃない?
旦那 まあ、4分の1に入ってるというふうに医者は言ってたけどね。
清水 何、4分の1って。
旦那 くも膜下出血になると、4分の1が即死、4分の1が重症、4分の1が中くらい、歩いて帰れる人は4人に1人だって。まずはよかったね(笑)。
清水 まあ、ねえ。
旦那 うん。血圧が230あるんだしね。あなたの理屈には理解できない部分もたくさんあるけど、俺には理屈なんかどうでもいいな。あなたが納得して、自分の意志で手術を受けることが大事だと思ったから、(11月27日には)手術の同意書にサインしなかったんだよ。
手術しなければ、脳が攣縮して水頭症になるリスクが高いと医者から散々脅されてめちゃビビったし、もしそのまま死んじゃったり、痴呆が出たら、俺は自分を責めただろうけど、それはそれで仕方がないとも思った。あなたの人生は、あなたが決めるべきだから。
清水 すごい不思議に聞こえるかもしれないけど、今朝、起きてみて思ったんだよ。「ああ、あの時はやっぱり手術を受けなくてよかったなあ」。でも、いまはホントにどこも悪くないな、だったら手術しようかなって。昨日の晩に、たかしくん(旦那の名前・仮名)が「手術して障害が出ても大丈夫だよ」って言ってくれたでしょ。だったら、手術してもいいかなって。
【後編を読む】「あなたはこれまで、売れる本をたくさん作ってきたけど…」脳の4分の1が壊死、手術前夜に夫が言ってくれたこと
※最新話は発売中の「週刊文春WOMAN 2021年 秋号」にて掲載。
【週刊文春WOMAN 目次】小室佳代さん密着取材一年 小誌記者に語った息子の子育て、金銭トラブル、眞子さまへの尊敬/特集ジェンダー&フェミニズム/香取慎吾表紙画第10弾
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2021年6月22日 発売
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