みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 腸内フローラで性格が変わるという実験から何を学べばいいですか─女優・木村多江からの質問

 NHK高校講座「科学と人間生活」のMCを務めるようになって、科学分野の情報に興味を持つようになりました。

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 今、コロナ禍において、いかに幸せを感じ、健康を維持するか、ということの重要性を感じています。そんな中、このような話を聞きかじりました。カナダの大学の実験で、臆病な性格のマウスの腸に活発なマウスの腸内フローラ(腸内細菌の群生)を移植すると活発になり、逆に、活発なマウスに臆病なマウスの腸内フローラを移植すると臆病になったといいます。

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 腸内フローラの交換によって性格が逆転したとは、大変な驚きなのですが、腸と脳に関連性があるのでしょうか。この実験結果から、私たちの健康と幸福感の維持に繋がる何かを学ぶことができますか?

中野信子の回答

A 多江さん、面白い実験に目を付けましたね。脳も大事ですが、今回は腸こそいかに大事かというお話をしましょう。

 それにしても驚くべき実験結果ですよね。腸内フローラによって性格が変わるというのはマウスによる実験結果ですが、私たち人間でも同じことが起こるのではないかといわれています。私たちの性格は100%脳が決めていると思われがちですが、腸などの身体の状態によってだけでなく、住んでいる環境や着ている服によってさえ、性格に変化が表れるものなんです。