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 精神を安定させることで知られるセロトニンという神経伝達物質は、人体の中ではその9割が小腸にあります。小腸のセロトニンが脳で使われるということではないんですが、小腸のセロトニンが正常に働いて、ようやく脳がちゃんと働くんです。いくら自分は幸せだと頭で言い聞かせていても、小腸を疎かにしていては、幸福感をなかなか得られなくなってしまうのです。

「コロナ禍において、いかに幸せを感じ、健康を維持するか」というのは、多江さんはコロナ禍において鬱で亡くなったりする方があることが気になっているんだと思います。

 腸内フローラの移植というのは、すなわち便移植なんですが、実は人間でも行われていて、鬱病の治療で便移植が実施され、鬱状態の改善が見られたそうです。ただし、せっかく移植しても、腸内環境がよくないと悪玉菌が増えやすいので、まずは腸内環境をよくすることが大事です。

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 善玉菌を増やすためにオリゴ糖を摂りましょうとか、水溶性食物繊維を食べましょうとか、よく耳にしますよね。このように普段の食生活でできることが腸の健康への近道。コロナ禍における健康の維持に役立つはずです。

 いかに腸は大事か、生物の進化の歴史を見ても、新しい材料を摂りいれて要らないものを外に出すという「消化器官」は、初期の段階から備わっていました。脳の登場は遅く、実は進化の歴史が浅いんです。極端なことをいえば、人間は脳死しても生きてはいられますが、消化器管を失うと生きていくのは厳しいんですよ。

 腸と脳については特集にしても面白いぐらいの話で、いいとこ突きますよね、多江さん。たくさんの人に関心を持っていただきたい、いいご質問をありがとうございました。

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※最新回は発売中の「週刊文春WOMAN 2021年 秋号」に掲載中です。

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text:Atsuko Komine