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「こいつ放っておいたらダメなヤツになりそうだな」

――その雄斗さんがスケートに乗るきっかけは?

堀米 あの当時はスケートボードに夢がなかった。日本では、スケートだけで生活できないことをわかっていたので、やらせるつもりはなかったんです。だから空手を習わせようとかいろいろ考えていたりしたんですけど。でも雄斗に関しては、「もしかしたらオレがなにかを教えた方がいいな」と思って。それでスケートボードをやらせたんです。

――そう判断したきっかけがあったんですか?

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堀米 「こいつ放っておいたらダメなヤツになりそうだな」と思ったんですよ、なんとなく直感で。

©今井知佑/文藝春秋

――直感で。

堀米 空手とかで鍛えた方がいいんじゃないかと思ったんですけど、なんとなく雄斗は自分が教えた方がいいと思って。それでとりあえずスケートボードやるか……と。だから始めは世界を目指すとか、そんな気持ちは一切なかったです。

「スケーターとして結構ものになるかもな」

――子供の頃の雄斗さんに才能を感じたことはありますか。

堀米 雄斗がというより、雄斗の世代の子ども全員に才能を感じました。雄斗が小学校1年生の時にちょうど舞浜にスケートパークができたんです。そこも自分が滑りたいから、子供たちを連れていくという名目で行きました。いろんな子供が集まってきていたんですけど、雄斗はその中で一番へたくそだったんです。

――意外ですね。

堀米 他の子の方が全然うまい。みんなどんどん吸収していきました。その時から、「子どもってすげーな」って思いましたね。

 自分たちの憧れてたスケーターってみんなバーチカル(※トランジションの面の最上部が地面に対して直角になっている巨大なハーフパイプ。バートやバーチなどとも呼ばれる)がうまかったんです。やっぱりバートが重要なんだと思って、バートがあるパークに行くんです。

「ちょっと下りてみろよ」ってセクション(※スケートを行う道具や設備の総称)から下ろした時に自然な動きだったので「結構イケるかもな」と思いました。才能を感じたというよりかは、「スケーターとして結構ものになるかもな」と感じました。そこからはバートを中心に練習していきましたね。

©今井知佑/文藝春秋

バーチカルにはなにかがあるはず

――バーチカルでバランス感覚が養われると以前おっしゃっていましたね。

堀米 そうですね。自分が見て憧れたスケーターがバートもストリート(※ストリートスケート。町中にある階段や手すり、縁石などを使うスケートのこと)もうまかったから、バートにはなにかがあるんだろう……と思っていました。

 それと当時アメリカのストリートはレベルがあまりにも上がりすぎちゃってて、日本人が入り込む余地はなかったんです。ストリートと比べて競争が少ないバートだったらまだいけるかなと思って。