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「#俺たちの菅波」でセカンドブレイク…『おかえりモネ』には坂口健太郎こそ必要だった“本当の理由”

2021/10/22
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『恋ぷに』はヒロインが人間ではない海から来た謎の生き物の設定で、展開がファンタジーでともすると安っぽく見えてしまいそうな心配もあったが、数々の作品を演じてきた綾野が真剣に演じていることでぎりぎり回避している印象があった。

「愛する心」をどう表現するか?

 松本大洋の漫画の実写化『ピンポン』(02年)で注目された井浦新(当時ARATA)は、その後は主として映画界で活躍していたが、『アンナチュラル』(18年)で演じた法医解剖医では、口が悪く変わり者ながら、実は愛する人のことを深く深く想っていたことが後にわかるという流れでセカンドブレイクし、以後テレビドラマ出演が増えている。

 彼もまた数々の映画体験が、類型的になりかねないテレビドラマの登場人物の「愛」の価値に厚みを加えたことで多くの人を惹きつけたのである。

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井浦新が出演した『アンナチュラル』

 ポップなエンタメに出続けていないと大衆はすぐにほかの俳優に目移りしてしまう。そのため、時々、エンタメ系のテレビドラマに出てつなぎつつ、テーマ性のある個性的な作品に出る。このバランスこそが俳優たちの生き残り戦略になっている。

 それにはやっぱり一歩深めた「愛する心」の表現による、セカンドブレイクが必須なのである。

「#俺たちの菅波」でセカンドブレイク…『おかえりモネ』には坂口健太郎こそ必要だった“本当の理由”

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