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「このひと手間、なくせるのでは?」タトゥーを入れて不便だったこと、意外と平気だったこと

「このひと手間、なくせるのでは?」タトゥーを入れて不便だったこと、意外と平気だったこと

 あれだけスラスラと生命保険の案内をしてくれたオペレーターが、こちらがタトゥーのことを申告した途端いきなり口が重くなったのには、「条件によって加入手続きの流れが細かく分岐するので、下手なことは言えない」という事情があったらしい。ただ、タトゥーを一律NGにしている保険会社は、最初からその旨をどこかにわかりやすく明記してくれるとありがたくはある……。「わざわざ電話で問い合わせた結果、そもそも加入できないことがわかった」というのは、悲しい気持ちになってしまうので……。

好き好んで背負った不便に不満を言うのはカッコ悪い

 タトゥーを入れると、日常生活のちょっとした場面でひと手間が発生するようになる。ひと手間はあくまでひと手間でしかないので、今のところ幸いなことに、深刻に困るような問題には直面していない。たが、筆者が女性であるぶん、「ひと手間」で済んでいるのかもしれない。男性であれば、タトゥーによって反社会的勢力との繋がりを疑われてしまう可能性はさらに高くなりそうだ。

「このひと手間、減らせるのでは?」と感じる部分があるのも事実だ。しかし、「タトゥーを入れると生活で不便が生じる」という言説がこれだけ世に出回っている以上、タトゥーを入れることは、「それによって発生する不便を飲み込む」ことに通じる。そして、現代日本においてタトゥーを入れる理由とは、自分のような「やってみたかったから」がほとんどだろう。不便が生じるのを知った上で個人が勝手に選択したことなのだから、不満を言うのはカッコ悪い。そのような考え方は理解できるし、実際、自分自身の中にもある。

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「タトゥー=反社会的勢力のような捉え方は時代遅れだ」という意見が年々広がっている。一方で、「自分が好き好んで背負った不便について不平不満を言うのはカッコ悪い」という価値観も存在する以上、この面倒くささは今後しばらく続いていくのだろうなと思う。タトゥーを入れたことで生じる不便さについて何か意見を表明していくべきか、それとも止めたほうがいいのか、現時点で自分の答えは出ていない。こういう原稿を書いている時点で、「少し何かが変わると助かる」と感じているのは否めないのだけれど。

「このひと手間、なくせるのでは?」タトゥーを入れて不便だったこと、意外と平気だったこと

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