ドブリックは今や、ロサンジェルスの高級住宅地に10億円の豪邸を持ち、2800万円のフェラーリ458を乗り回し、400万円でジェット機をチャーターしてフロリダに遊びに行き、ピザ・チェーンも経営する実業家になった。高校を出てからたった6年で。
そして、つまずいた。
人の命をもてあそぶ動画
YouTubeで、ヴログ部隊の一員で幼馴染みのドゥアルテ・ドムと2人の女性を1つの寝室に入れて、ドブリックが「3Pだな」と笑う動画を投稿したら、その女性が「ドムにレイプされた」と訴えたのだ。ドブリックはドムをクビにしたが、「寝室で何が行われたか僕は知らない」と釈明し、「無責任だ」と炎上した。
さらにドブリックは人を殺しそうになった。ユタ州の湖でレンタルした土木工事用のパワーショベルを自ら操縦し、そのショベルの先につけたロープで、ヴログ部隊の一人ジェフ・ウィテック(31歳)を振り回した。ジェフはパワーショベルの車体に頭から叩きつけられ、重傷を負った。
イタズラのため、視聴数のため、人の命をもてあそぶなんて。この一連の事件でドブリックのYouTubeチャンネルの登録数は40万人減った。「ドブリックはもう終わりだ」という声もある。
ドブリックにあるのは、人懐こい笑顔と金の力
脳に重いダメージを受けたジェフはドブリックを訴えないという。彼はヴログ部隊に呼ばれるまで理髪師だったが、ヴログ部隊に入って年収は10倍以上になった。彼のパトレオン(アーティストやパフォーマーに寄付を送るプラットフォーム)に集まった寄付だけで24万ドルだ。「莫大な金の力で君臨するドブリックはカルトの教祖と同じだ」かつてのヴログ部隊のメンバーはそう批判する。
ドブリックは新しくない。2005年にYouTubeが生まれる前、『ジャッカス(間抜け)』というTV番組があった。売れない俳優やコメディアンたちがドブリックよりもはるかに危険なイタズラをした。自分が餌になって海に飛び込んでサメを釣ろうとしたり、満タンの仮設トイレに入ってそのままクレーンで吊り上げてシェイクしたり。
『ジャッカス』になくてドブリックにあるのは、人懐こい笑顔と金の力。でも、それはセンスでも才能でも、ましてや努力の成果でもないね。
【後編を読む】ブリトニー・スピアーズを12年間も奴隷にした成年後見人制度《60億円稼いだといわれるスーパースターが「私はまるで売春婦です」》