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格差の遺伝は望まない

 タワマン住人は「親の所得階層が子供に引き継がれることによる格差の固定化」について重要かつ早急に解決すべきと考える人が男女とも多く、31%である(全体16%)。

 だが「富裕層と一般層の間の所得格差拡大」や「正社員と非正規社員やフリーター等との間の格差拡大」について重要かつ早急に解決すべきと考える人は、タワマン住人は全体平均より少し多いだけである(22%対17%、31%対25%)。

 つまり、自分の努力と能力によって正社員になれたかどうかが決まり、年収・資産も決まるのだから、その格差はあまり問題ではないが、親の格差が子どもにも引き継がれるのは問題だと考えているということだろう。エリートとしてはまともな考え方である。

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 だが自分たち自身が親から遺伝子と経済的・文化的資産を受け継いだことを認めているのだから、それを自分の子どもの代で解決するのはなかなか難しいだろう。だから、親から各種の資産を受け継がなかった人でも能力を伸ばし、地位と収入を上げられる社会制度の設計をすることが、タワマン住人に代表される現代のエリートたちの次の責務であろう。

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