そして突然迎えた9回の表、宋家豪が外角に投げたチェンジアップに対し、佐藤都志也のバットが空を切って、オリックスと優勝を争っていたロッテの負けが決まった。
「あ、優勝した」。情けない事に、へたへたと座り込んでしまった。ガッツポーズの一つもできなかった。長い長い道だったけど、信じていたつもりだったけど、どこかで強い不安をも感じていた。今年も優勝できなかったらどうしよう。だから、その願いが叶った時、思った。「よかった。本当に。安心した」。そう安心した。
テレビの画面越しに見た。優勝祝賀会での選手達の顔は、本当に楽しそうだった。これまでずっと長い間、苦しそうな顔を多く見てきたから、とても嬉しかった。本当におめでとう。君たちを応援できてとても幸せだったよ。
いつの間にか、強くて立派なチームになってたんだ
でも思う。成功は次のステップへの出発点であり、だからこそ次には更なる高みが待っている。それじゃあこのチームはそこでどう戦っていくんだろう。これまで当コラムでいろいろと失礼な事を書いてきたし、時には球場で野次を飛ばすこともあった。でも、立派になった今のチームには自分などが言えること何もない。そう大きくなった娘たちに対して、親がもう言えることがほとんどないのと同じことだ。
そうか、いつの間にか、強くて立派なチームになってたんだ。これまでの事を思い返すと、逆に「あの辛かった頃」さえ懐かしく思えてくるのが不思議だけど、でも、勿論それも、祝うべきことだ。そして、チームが強くなった今、今度はきっと僕たちは、君たちと一緒にこれまで見た事のない景色を見ることができる。今まで行ったことのないところに行くのは勇気がいるし、失敗だってするかもしれないけど、それを楽しめるのが若さと言うものだ。だったらその勢いを僕たちも少し分けてもらおうじゃないか。こんどは君たちが僕らを連れていく番だ。
そして何よりも、これまで有難う。そしてこれからもずっと一緒に夢を見れるといいな。いつもよりずっと長いシーズンを楽しませてもらいますね。