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赤道直下の島が雪まみれ、木々に埋もれる大都会…「え、こんなこと出来るの!?」プロの目で見たPhotoshop“ナゾの新機能”

赤道直下の島が雪まみれ、木々に埋もれる大都会…「え、こんなこと出来るの!?」プロの目で見たPhotoshop“ナゾの新機能”

2021/11/01
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プロの目で見た「風景ミキサー」の特徴は…

 また風景ミキサーの特徴のひとつが、ミックス後の画像をレイヤーとして出力できることだ。

風景ミキサーの特徴のひとつが、ミックス後の画像をレイヤーとして出力できる
レイヤーとは「紙芝居」のようなもので、何枚も画像が重なっている状態のこと

 レイヤーは画像処理に興味がない人には説明が難しいが、紙芝居のようなものを想像して貰えば良い。フォトショの中で画像が何枚も重なっているのだ。

 そのため、元の画像には手を加えず、風景ミキサーでAI主導で作った画像をさらに、自らの手作業で加工し元画像と馴染ませる作業ができ、これは様々な映像コンテンツを作る人たちの、新たな武器になると思う。

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 ただ正直、この新しいフィルター機能は、我々のようなカメラマン向けのものではないなとも思った。カメラマンはやはり、その時、その場所で撮れた映像が勝負であり、フォトショはあくまで、撮影時に不可能であった作品の欠点を、あとから最小限フォローするために使う。

 風景ミキサーを始め、現在の高機能になったフォトショは、映像を素材のひとつと考え、それに手を加えて作品を組み立てていくグラフィック作家的な人に使われるべきものなんだろう。そしてこの風景ミキサーは、そこからさらに多方面へと広がり、街やその郊外の景観、地球環境、生態系など、様々な分野をシミュレートする多くの研究者のツールとなるのかもしれない。

 ここ10年あまり、私のような古いカメラマンの手には、すっかり負えなくなってきたフォトショだが、今後さらなる飛翔を遂げるのだろうか。そう考えると、フォトショを初期から使ってきたカメラマンとして、嬉しくもあり寂しくもあるなあ。

写真=阪口克

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

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