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検索履歴でも見えないものとは何か
捜査が進むに連れて、違う側面が見えてきた座間の9遺体事件、今週号の「白石隆浩は遺体損壊をスマホで撮影していた」では、事件の続報を伝える。
「金、強姦、殺し(殺人)、死体損壊。どれが本当の目的なんだ」と捜査員が訊くと、容疑者は「それは金です」と答える。しかし殺害された9人に十代の女性4人がいることから「金銭目的なら若い子は狙わないはずだ」と問いつめると、うつむき加減に黙り込んだという。
捜査関係者はこの容疑者を「金銭目的と死体愛が複雑に絡み合う無秩序型の殺人犯」とみている。というのもスマホの検索履歴を調べると、犯行前は「練炭」「溺死」「首吊り」など自殺に関するキーワードを検索していたのが、やがて「死体の解体」「腐敗臭の抑え方」などを調べるようになり、終いには「『屍姦』『死体を食べる』というような、死体自体への興味をうかがわせるワード」となっていくからだ。
犯行の過程がネットの検索履歴の変遷から見えてくるのが現代的であるが、それでも見えないのが異常の心理か。
「なぜ彼は禁忌をやすやすと破ることができたのか」、捜査関係者は精神鑑定にそれを期待している。それもおいおいメディアで報じられることだろう。これもまた、人に対する興味である。
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(注) 加藤晴之『働く、編集者』宣伝会議・2007年