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「帝王切開は無麻酔」「腸が出たままになった犬も…」逮捕された“悪質ブリーダー”が飼育していた1000頭の犬たちの悲哀《スタッフはわずか数名》

「帝王切開は無麻酔」「腸が出たままになった犬も…」逮捕された“悪質ブリーダー”が飼育していた1000頭の犬たちの悲哀《スタッフはわずか数名》

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保健所も動物虐待を“素通り”

“公然の事実”だった虐待を保健所が「素通りした」と憤るのは別の関係者だ。

「指導の権限があるのは保健所だけですから。知人はアニマル桃太郎の惨状を憂いて保健所に何度も足を運んでいましたが、担当者からの『大丈夫です』の一言でいなされていました。年2回は立ち入り検査に行っているはずですが、保健所は百瀬の言いなりでろくに確認をしていなかったのでしょう。感情論として取り合ってもらえなかったようです。

『狂犬病ワクチンは全頭接種しているのか』と“法的”なケアの確認も取ったようですが、『獣医師が出向き、接種させたと百瀬が言っている』との返答を寄越すばかり。そう言われれば、我々もそれ以上は追及ができず歯がゆい思いをしていました」

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繁殖場から保護された犬 FNNプライムオンラインより

 アニマル桃太郎で犬を買う場合は、事務所に犬を連れてきて客と対面させるため、悲惨な繁殖場の現場が外部に露呈することはなかったという。

 だが、今年9月、ようやく県警が繁殖場に家宅捜索に入った。実態解明に向けて動きが進むかと思われたが、桃太郎サイドは思わぬ反撃に出る。

アニマル桃太郎の繁殖場の様子 ©文藝春秋
繁殖場の周辺はのどかな田園風景が広がっていた ©文藝春秋

「捜索が入ってから数日後、なんと約1000頭いた犬の大半が、埼玉県内の関係業者に移送されてしまったんです。犬を運び出したのは、ペットオークションを行う業者。代表は、繁殖場とオークション・ペットショップという現在の流通構造を作り出した業界では超が付くほどの有名人です。代表と百瀬は以前から取引がある古い付き合いでした。

 代表は『獣医に見せて犬の健康状態を確かめる』と移送の理由を語っているようですが、それを理由に百瀬は衛生環境が悪い繁殖場の1つを捜索後にすぐに取り壊した。業界のブラックなイメージを世間に持たれる前に、早急に“証拠隠滅”を図ったといわれています」(前出の関係者)